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暗沢山・高通山 [伊豆]

2017/03/11(土)

■第348回 : 暗沢山(520m)・高通山(518m)


南伊豆の山を巡った今回、ハイライトはなんといっても、高通山からの素晴らしい展望でした。
伊豆半島の海岸線を一望する眺めがもう絶品で、それなのに頂上には私ひとり。絶景を1人だけで独占するという、この上ない贅沢な時間を過ごしつつ、ほかに誰もいないのが不思議で仕方ありませんでした。
それに対して先に登った暗沢山のほうは、特に登りに選んだコースが一般登山道ながら廃道の雰囲気すら漂う荒れようで、人がいないのも道理と納得できてしまう状況。前後半であまりに印象の異なる山行となっています。

(高通山からの展望。上が堂ヶ島や雲見などの西海岸、下は下山方向の伊浜から谷川浜にかけての海岸線です)

(往路)
古淵 05:15-05:19 町田 05:33-05:55 本厚木
本厚木 05:59-06:36 小田原 06:45-07:08 熱海
熱海 07:22-08:45 蓮台寺 09:00-09:38 松崎中学校

(登山行程)
松崎中学校バス停  09:40
重文岩科学校バス停 10:20
暗沢山       11:45-12:00
高通公園      12:50-13:00
高通山       13:30-13:55
波勝崎       14:40-14:45
伊浜バス停     15:15

(復路)
伊浜 15:46-16:53 伊豆急下田 17:01-18:12 伊東
伊東 18:13-18:37 熱海 18:53-19:16 小田原
小田原 19:23-20:16 相模大野 20:25-20:40 南警察署前


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今回は、前日に南伊豆フリー乗車券の購入を済ませてスタンバイ(当日の購入が不可のキップです)。
伊豆急全線と南伊豆エリアの東海バスが乗り降り自由になるこのキップ、伊豆急線を下田まで往復するだけでも元が取れるという大盤振る舞いで、バスにも結構長い距離を乗った今回は、2,600円ほどお得になりました。

伊豆急線を終点の1つ手前まで乗って、蓮台寺駅で下車します。この頃までは、良く晴れていたんですけどね。
駅前に出て松崎方面へのバスを待つのが、私だけだったのが意外すぎました。下田発の路線なので、やって来たバスには数人の乗客がいましたが、ほとんどは地元の人たちだった様子。バスを使う観光客なんていないのか?
バスが峠を越えて伊豆半島の東海岸から西海岸へ回っているうちに、空はすっかり曇ってしまいました。松崎の市街地に入る寸前の松崎中学校で降りる頃には、傘を差すほどではないものの小雨まで舞い始める始末です。

少し歩くと、福祉センターというバス停の近くに、牛原山への登山口があります。何年か前に立てた当初の計画では、まず最初に牛原山に登って、その向こうの岩科学校へ下ることにしていたのですが、実行直前に2017年版の「山と高原地図」を確認したら、牛原山から岩科学校へ下る道が「廃道」となっていてビックリ。登った後でこちら側に戻るしかないのでは時間のロスが大きいので、計画を微修正して牛原山は省略することにしました。
ということで、牛原山は麓の車道でぐるりと迂回して、岩科学校へ向かいます。前方には、当初の計画では2番目に登る予定だった暗沢山が見えてきました(写真の中央やや右寄りで電波塔が2本立っているのが暗沢山)。
重要文化財の岩科学校は入口前を通過するだけ。奥には、明治13年に建てられた2階建ての校舎があるらしい。

車道ばかり約3.5kmを歩いて、重文岩科学校のバス停まで来たところから、実質的な登山開始となります。
松崎からここまで、接続が良ければバスを利用したかったのですが(フリー区間ですし)、次の便は1時間半も待たされますし、その前の便は始発で出掛けて来ても乗り継げない状況で、仕方なく歩くしかありませんでした。
岩科学校のバス停から暗沢山へのコースは、赤実線の一般登山道にもかかわらず、バス停からの道案内が皆無でした。登山地図の縮尺も8万分の1と小さく、地図だけを見て迷わずに進むのは難しいでしょう。付属する小冊子を併用すれば、案内文で分かるようになっているとはいえ、現地に道標がないのはあまりに不親切に感じます。
上の写真のY字路まで来ると、やっと最初の道標が現れて、左の道が登山コースだと示していました。

道標に従って進むと、舗装された農道がかなり奥まで続きます。道の両側はかつての耕作地らしく、今ではあまり顧みられていない様子だったものの、結構登ってからも朽ちかけた作業小屋を見掛けたりしました。
山道に変わると、今度は石ゴロの歩きにくい道がずっと続きます。元々は石畳だったものが、今ではどの石も好き勝手に散乱し、落ち枝なども積もり放題で、登山道としてほとんど手入れされていないのが明らかでした。
この切り通しを抜けた先が指川峠だったようですが、それを示す標識はなかったようです。
指川峠の先も相変わらず、路面が酷く荒れています。こんな様子では、ろくすっぽ人に歩かれていないのでしょう。暗沢山の手前の大峠に着いて、別のコースが合わさるまでは、このまま誰にも会わないと確信しました。
落石や倒木の散乱で、いちいち足の置き場を選ばないと進めません。もはや道としての体をなしているとは到底思えず、まるで廃道でも歩いているかのような気分でした。登山口からの道案内の不親切さもあって、ここが一般登山道とされていること自体に違和感がありまくりなのに、登山地図に付属の小冊子がこのコースの紹介までしているのが実に不可解です。私には、とても一般に薦められる状況のコースではないとしか思えませんでした。

そんな矢先、左から合わさってきた車道に、かなり山深い所まで入ってきたという気分をひっくり返されます。
その付近には数軒の家屋が見られました。普段からここで生活するのは不便そうなので、別荘とかでしょうか。
その先の道は、しばらくの間は舗装されていましたが、家屋のある一角を過ぎて轍が消えたらその途端、こんな状況に。ここもまだ舗装道路なのですが、散乱物の多さに舗装面がほとんど見えない有様です。
舗装道路が終われば、当然のように、荒廃した山道が取って代わります。
こうなると、もう歩きにくさは一目瞭然で説明するまでもなさそう。一般登山道を歩いて、ここまで残念で興醒めな気分にさせられたのは、これまでになかった気がします。
状況に改善の兆しが見られたのは、大峠に近付いた頃でした。整然とした植林地に入ると、その中の道も良く踏まれた感じに変わって、歩きやすくなったのです。きっと山仕事などで大峠側から人が往来しているのでしょう。

三叉路の大峠に到着すると、合わさった2本の道はどちらもしっかりと踏まれていて、少しホッとしました。
暗沢山へは、直進する山道を車道に合わさるまで進むとされていますが、なかなか車道に出そうもありません。
そこで大峠まで戻ると、車道を見上げる斜面に踏み跡があったので、それを追ってショートカットしました。
車道までの距離は僅かで、さほどの急斜面でもなく、難なく車道に上がれました。
あとは電波塔のある頂上を目指して車道を登るだけ。暗沢山への登りは、最後まで味気ない感じでした。

暗沢山の頂上は、平坦地にそこそこの広さがあって、ゆったりとした佇まいでした。
私製の標識と、大きな標石の一等三角点がありました。
開けている北側には、天候に恵まれれば富士山や南アルプスが眺められるなど、大展望が広がるはずでした。しかし曇っていたこの日は、同じ伊豆半島の天城山ですら雲の中で、見渡せたのは近い範囲にとどまっています。
パッとしなかったこの日の展望はこんな具合でした。2008年に登った長九郎山の右後方に、天城山くらいまでは見えていて欲しかったのですが‥‥。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
振り返ると電波塔が占めている南側は殺風景で、東西も樹木のため見通しがなく、お楽しみは北側だけでした。
暗沢山の頂上に誰もいなかった時点で、このあと高通公園に下るまで誰にも会わないであろうことが確定的になりました。時刻は既に正午、こんな地味な山に午後になってから登ってくる人なんて、稀でしょうから‥‥。

大峠まで戻ったら、登ってきた岩科学校からの道を見送って、道標が「長者ヶ原」と案内する方向に進みます。
軽く登り返して行くと、すぐに長者ヶ原に出ました。立派な休憩舎と解説板があります。
長者ヶ原は草原状に開けた広い場所です。こんな時期なので、枯れ色の寒々しい風景になっていますが、暖かくなれば緑の草原に変わるのでしょう。条件に恵まれれば、富士山を望めたりもできるようです。
こんなに気持ちの良さそうな場所なのに、ベンチのいくつかは草に埋もれていて、あまり使われていない様子。ここはツツジの群生地として知られていますが、花期の5月を除くと、訪れる人は少ないのかもしれません。

長者ヶ原の草原を横切ったら、さらに先へと進みます。
その後しばらくの間、道は良く踏まれていて、この日初めてマトモな登山道を歩いている気がしました。
しかし、いくつかの分岐点を経て進んでいくうちに、次第に道が細くなっていきます。私が次に目指しているのは高通公園ですが、そこから歩いてくる人が決して多くはない、ということなのでしょう。
そこまでは想定内でしたが、大峠以降は頻繁に設置されていた道標とテープによる目印が、その先のある地点を境にパタッと見られなくなってしまったのには焦りました。その地点というのが、道が分岐しているようにも見えて、少し進路に迷った地点だったので、そこで進路を誤っていた心配があったのです。さらに進むと道が不明瞭になる箇所もあって、正しい道から外れているのではないかと、不安を抱えて歩く区間が少し長く続きました。

なので、次にこの木段を見た時は、正しいコース上にいることが分かってホッとしました。
一旦木段が現れたら、その後は木段の下りが繰り返されて、何度目かの木段の先に車道が見えてきました。
車道に降りた地点を振り返りました。登山道の整備状況が万全とは言い難い暗沢山でしたが、ひとまず計画通りのコースをトラブルもなく歩き通せたことになります。

細い車道から国道136号線に出ると、国道を横断した向こう側に高通公園が見えてきました。
高通公園できれいな水洗トイレを利用させて頂いたあと、これから始まる高通山への急登に備えて、ベンチに腰掛けて少し足を休めていきます。
ところで、高通山は暗沢山よりは登山者が多いと認識していて、下山者を待つ車が公園の駐車場に何台かは停まっているだろうと想像してきたら、それが全く見当たりません。高通山は登山口が計3箇所あるので、頂上の状況は分かりませんが、少なくともここから頂上へ登る間に下山者とすれ違う可能性は、ほぼゼロに近くなったことになります。この日は未だ自分以外の登山者を全く見ていませんが、その状況はまだ続くことになりそう。

高通公園を後にして、高通山への登山道に入ります。この標識によれば、頂上までの距離はたった850m。その間に約260mを登るのですから、かなりの急登が待ち受けているはずです。実際の見た目もこの写真の通り、高通山がほとんど真上に向かってそびえているかのようで、ここで気合いを入れ直しました。
公園の少し上で山道が始まると、案の定、木段が立て続けに現れて、最初から息が上がります。でもそこにさえ目をつぶれば、見た目はいたって普通の登山道。この日はいつもとどこか勝手が違う登山道が続いていただけに、見慣れた雰囲気で良く踏まれている登山道の様子に、普段と同じ落ち着いた気分で歩き始められました。
所々に少し傾斜が緩む区間があっても、そのすぐ先にはまた次の木段が見えてくる、という繰り返しです。
標高があがるにつれて、登山道に木段の占める割合が増えていき、その段差も大きくなったという印象です。
この日は割と早い時点で山シャツの上に羽織っていた物を脱いでいましたが、急登の連続にそれでも暑くなって、このあたりからは袖をまくって登っています(以降も、伊浜のバス停に着くまでずっと半袖で歩きました)。

高通山の頂上に到着すると同時に、空が晴れてきました。そして意外なことに、これまで無人だったようです。
樹木の多い頂上で、意外にも全く展望がない方向も多いのでした。
頂上標柱と三角点です。
南側に面した一角にはベンチが置かれていて、そこから太平洋を一望する雄大な眺めが楽しめました。
高通山頂上からの展望です。見えている海岸線は、このあと目指す伊浜から谷川浜にかけてといったあたり。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真は こちら です。
伊浜から谷川浜にかけての海岸線をアップにしました。左下が下山先となる予定の伊浜集落です。

事前にも情報を得ていましたが、頂上よりも展望が良いらしい「北側展望台」が近くにあって、標識も案内してくれているので、そちらにも立ち寄ってみました。
想像していたよりも大きく下ってしまうこと3~4分で、前方が大きく開けてきました。
「壮観」の一言に尽きます。ここにも誰もいなくて、こんな絶景を独り占めしている気分の良さといったらありませんでした。そして、晴れてくれてありがとう!
北側展望台からの大パノラマです。もっとクリアに晴れていれば、海の向こうに富士山や南アルプスまで望むこともできるようなのですが、これでも十分な眺めでした。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
雲見エリアをアップにしました。変化に富んだ海岸線が魅力的で、肉眼では遊覧船の航行も確認できています。

展望を堪能したら、波勝崎への道を下ります。登山地図では一般登山道として描かれているものの、ネット上で探せる記録の数は少なくて、あまり歩かれている様子ではないのが心配の種でした。現地に来てみたら、意外なほど立派な道標が案内していた点は安心材料かなと思いましたが、実際のところどんな状況の道なのでしょうか。
高通公園からの登りと同じように、木段の多い道でした。しかもこちらは、崩れかけている箇所があったり、木段上への落石などがそのままになっていたりして、決して歩きやすくありません。歩く人が少ない分、整備も手薄にされてしまっているのでは、という印象でした。
それでも随所で海を眺めながら、その海へ向かって下る具合で、見られる景色は爽快でした。
それにしても木段の多いこと。中には、こんな風に相当な急降下になる箇所もありました。だからゆっくりと下れば良かったのでしょうが、勢いに任せて飛ばしてしまったので、少々膝への負担が大きかったようです。
3番目の注意が異彩を放っています。ま、山の中を歩いていてサルに会うことは、決して珍しくはないけれど。
かなり下ってからは、木段の合間に緩やかな区間が現れるようになり、ひと息つけるようになりますが‥‥。
木段の区間では土砂が流れて段が埋まり、このように単なる急斜面と化していたり、そこへさらに落石が絡んだりして、歩きにくさが増していました。これ以上放置すると、いよいよ歩けなくなってしまいそうです。
車道に出る直前まで、急な木段は断続的に現れて、珍しく最後には膝が笑いかけてしまいました。

ここからは一旦車道を歩きます。
すると間もなく、車道で寛いでいるサルを見掛けました。
もしも群れと遭遇したら少し怖かったかもしれませんが、一匹だけですから、静かにすれ違う限り、お互いの間に特別な緊張感は生じませんでした。まぁ観光地の波勝崎が近いですから、サルも人慣れしていたのでしょう。
ここで車道を歩く距離は短くて、すぐにまたここから山道に入ります。
すると、またしても急で荒れた歩きにくい木段の再現となりました。
ほどなく、前方に波勝崎の駐車場が見えてきて、あと少しだと思ったら、この先の木段がもう最悪でした。ほとんど木段の体をなさないほどに酷く荒れ果てて、歩きにくいどころではないのです。悪路に慣れている私でも難儀させられたので、普通の人は歩行困難ではないかと思われるほど。何故こんな状況が放置されているのだろう?
最後は目に余るほどの悪路、本当に「おつかれさまでした」ですよ。まったく。

波勝崎の駐車場まで来ましたが、ここからでは、海岸は限られた範囲しか見られません。
時間に僅かながら余裕があったので、奥に見える海岸に寄ろうかと思ったら、なんと道がロープで封鎖されています。どうやらこの先へ進むには入園料を払う必要があって、しかも海岸までは送迎バスでの移動になる様子。
ここで使える時間は15分がいいところ。入園料を払ったところで、すぐに戻って来るようですし、送迎バスの時間に左右されたくもなければ、自分の足で歩けないことにも興醒めなので、駐車場の先に入るのは諦めました。

波勝崎にはバス路線がないので、帰るためにはさらに2.5kmほど先の伊浜まで歩かなければなりません。波勝崎を後にして、波勝崎に通じている唯一の道路を少し歩いていくと、右に分岐する細い道があります。
分岐点に道路標識や道標はありませんが、大きな石に黄色いペンキで「伊浜遊歩道」と書かれていました。
普通の道路ですが、標高100mくらいまで登ってから海沿いを進むので、抜群の景色を見ながら気分良く歩けます。ほどなく前方には最終目的地の伊浜集落が見えてきました。
伊浜集落の先に見えていたのは、谷川浜あたりまでの海岸線です。
右を向けば、太平洋の大海原がどこまでも広がっていました。水平線まで見通せたのは久々な気がします。

伊浜集落が近付いてきました。ささやかな漁村といった佇まいに風情が感じられます。
最後に海辺の道路に出たら、もうゴールは目と鼻の先です。
先程までいた波勝崎の方向を振り返りました(波勝崎までは見えていないようです)。
午後3時を過ぎた小さな漁港に人の姿はなく、長閑な時間が静かに流れていました。

バスの時刻には余裕があったものの、とりあえずバス停の様子を見に行ってみたら、すでに折り返しとなる便が到着してバスが停まっていました。近くにいた運転手さんと会話して、発車が30分後なのを確認できたので、それまでは海岸に戻って待つことにします。実はこの路線のダイヤが平日/休日ではなく通学日/休校日で区別されていて、この日がどちらに当たるのか確信がなかったのですが、これで安心してバス停を離れられました。
伊浜バス停です。上の写真でもほぼ真ん中にこのバス停があるのですが、すぐ隣に車が停まっていたことで、撮りたかったアングルでは写真になりませんでした。
この日のラストシーンは波打ち際。手頃な石に腰掛けて、目の前いっぱいに広がる海と、そこから寄せては返す波を眺めて、残りの時間を過ごします。この頃になると空はスッキリと晴れ渡り、力強い日差しに半袖でも汗ばむほどで、爽やかな潮風がとても心地良く感じられました。
発車時刻が迫ったら再びバス停へ。このあと、このバスに1時間以上揺られて伊豆急下田駅に向かい、伊豆急線を初めて全線乗り通す形で帰途に就きます。山と海、両方の景色を楽しめたこの日の山行でした。

タグ:伊豆
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大平山・古城山 [伊豆]

2017/02/25(土)

■第346回 : 大平山(578m)・古城山(540m)


今回訪れたのは、伊豆半島の付け根付近にある山です。最初に登った大平山に登山道があるのに対して、次に向かう古城山には登山道がなく、久しぶりにバリエーションルートを歩く計画で出掛けました。
バリエーションルート上では、予想していた以上に道がなくて進路が分かりにくかったところへ、必携装備のコンパスが作動しないアクシデントまで発生して、最終兵器のはずのGPSを最初から発動する羽目になったりしましたが、とりあえず予定通りには歩くことができています。

それにしても、登山道上に楽しめるような特段の景色がなかった上に、頂上などからの展望も限定的で、どちらも地味な山でした。このような低山では、それが本来の姿に近いと思っているので、私には観光のために人が手を入れ過ぎた山よりもむしろ好ましく感じられたのですが、一般受けしない山であることは間違いないでしょう。
そんな山だからか、この日は自分以外のハイカーと出会うことのない、完全な1人旅となりました。自然の音だけに満たされた世界にずっと身を置くことができて、その自然との対話も存分に楽しめた気がしています。

(往路)
市営斎場入口 06:15-06:30 相模大野 06:39-07:28 小田原
小田原 07:36-07:59 熱海 08:24-08:47 伊東

(登山行程)
伊東駅    08:55
丸山公園入口 09:10-09:15
大平山    10:20-10:30
四辻     11:05
柏峠     11:20
冷川峠    11:55-12:00
古城山    12:35-12:45
松川湖    14:05
おくの公園  14:10-14:20
城の平バス停 14:40

(復路)
城の平 14:53-15:13 伊東 15:21-15:44 熱海
熱海 15:47-16:09 小田原 16:31-17:25 相模大野
相模大野 17:28-17:43 市営斎場入口


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伊東駅からスタート。冷え込みが弱く、日向では朝から暖かさが感じられた一方で、風はまだ冷たかったです。
はじめは車道歩きで住宅街の中を抜けていきます。緩やかな登り坂が続いて、すぐに身体が暖まってきました。
15分ほどで丸山公園の入口に到着しました。車道歩きはここまでです。

丸山公園に入って、良く整備された遊歩道を登っていきます。
少し登った所に広場があり、かなり汗ばんでいたので、ウェアを調節していきます。山シャツの上に重ねていた物は全部脱ごうかとも思ったのですが、風に当たると一気に冷えるので、ジャケットは羽織ったままにしました。
その広場では梅の花が咲き始めていました。

丸山公園はかなり広くて、公園内の遊歩道だけでも100mくらいは登ったようです。公園の端まで来て、遊歩道が終わったところから、ようやく山道が始まりました。丸山公園から大平山へは、尾根コースと渓谷コースの2本が整備されましたが、現在は渓谷コースが整備不良で通行止めなので、歩けるのはこのコースだけです。
「ハイキングコース」にしては、道はかなり頼りないものでした。どうやら、あまり盛んに歩かれているコースではなさそうです(時期的な要因もあったかもしれませんが)。尾根が狭くて歩ける場所が限られるうちは明瞭な道も、尾根が広がって踏み跡が分散してしまうような箇所では、しばしば不明瞭になりました。
そして、勾配がきつい箇所でも全くジグザグを描かないので、意識的にゆっくり歩かないと、すぐに息が上がります。ただ、過剰に整備された様子がない分、木段のような人工物を見ずに歩けたのは好ましく感じたのですが。
しばらく登ると、石切場跡の標識と解説板がありました。江戸城の築城にあたって、伊豆東海岸一帯が中心的な採石地になっていたとのことで、このあたりもその1つだったらしいです。
すると、その先の登山道脇には、大きな岩がゴロゴロと点在するようになりました。
さらにこんな標識も出現。「この石に刻まれている(図柄)は、加賀前田家の印(刻印)と言われています。」
そうは言っても半世紀近くも前の物だしと、あまり期待せずに見に行ったら、意外にも分かりやすかったです。
ただ、登山道自体の景色は、いたって地味なままでした。手入れされなくなった植林地に雑木林が進出してきたような、やや雑然とした林相が続いて、歩いていて楽しい道ではありません。私自身、再びここを歩きたいとは思えませんでしたし、恐らくはリピーターが少ないことで、あまり歩かれない道になっているのではと感じました。
大きく開けた場所もなく、周囲の山々も稀に樹木の間から眺められる程度で、樹木が葉を茂らせる時期にはそれすら難しいでしょう(写真中央は大室山。もっと右には天城山があるはずですが、この日は雲の中でした)。

大平山の頂上に着きました。実はこの先にもまだ少し登りが続いていて、正確な意味で頂上とするには適当でない地点だと感じたのですが、ここに三角点が設置されていることに引きずられて頂上にされてしまったようです。
標識と三角点のほかにはベンチすらありませんが、人の手があまり加わっていない感じには好感が持てました。
東側が少し開けていて、伊東市街を見下ろした先には太平洋の大海原が広がっていました。

大平山の頂上とされた地点から先へ進むと、さらに20mほど登った地形図の592mピーク(そこが大平山の最高点?)までは、気持ちの良い穏やかな尾根が続いていて、この区間だけは道もしっかりと踏まれている様子でした。
大平山の西側に少し下った所には芝生広場があって、そこまで車で入ることができて駐車場も整備されています。大平山を訪れる人の多くは、きっとそこから楽々と登ってきて、頂上部だけを軽く散策する感じなのでしょう。
最高点らしい592mピークを過ぎた次のコブには「展望ゾーン」という標識が立っていました。
「展望ゾーン」からは富士山や箱根方面が眺められて、この日のコースでは唯一の展望らしい展望です。それなのに富士山は山頂部以外がほとんどが雲の中だったほか、箱根山も雲に隠れていて、近い範囲しか見られなかったのが残念でした。開けていたのがこの限られた地点だけなので、「展望ゾーン」という名称にもやや違和感が。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
富士山は、上のリンクの大きな写真でも雲との区別が付きにくいので、アップの写真も挙げておきます。真ん中あたりで、頂上部だけが辛うじて、雲の上に顔を出していました。
それにしても人の少ない山域で、伊東駅から歩き始めて以来、全くハイカーを見掛けていません。最も人がいる確率が高そうなのが、西側の芝生広場から少し登るだけで気軽に歩ける大平山と展望ゾーンの間でしたが、そこでも誰にも会わなかったことで、この日はもう最後まで1人旅になるのが確定したようなものでした。一般登山道でさえ人がいないのに、この先で登山道を外れて、バリエーションルートに入ってしまうのですから‥‥。

といっても、まだこの先、柏峠まではハイキングコースの続きです。展望地を過ぎると、再びあまり歩かれていない様子の頼りない道に戻りますが、要所には道標が立っていたので、道に迷う心配までは必要なさそうでした
その後は特に写真を撮るような景色もないまま、四辻まで来てしまいます。ここはその名の通り十字路になっていますが、左に下る大平の森へのコースはもう歩ける状況にはないらしく、「危険 立入禁止」となっていました。
登山道も相変わらず地味な風景の中にあって、これでは歩く人が少ないのも致し方ないというのが率直な印象です。そのせいか、少し歩きにくいと感じる箇所が出始めているようにも思われました(単に、歩く人が少ない冬季は整備が手薄になっていて、それで少し荒れていただけなのかもしれませんが‥‥)。

柏峠でハイキングコースは二手に分かれます。冷川峠に向かうには、右折して林道に出るのが一般的ですが、それだと少し遠回りな上に、余計に下って登り返す形になってしまいます。そこで、整備されたコースを歩くのはここまでとして、少し先からいわゆる“バリエーションルート”に入り、冷川峠を直線的に目指すことにしました。
ということで、直進方向のハイキングコースをもう少しだけ歩いたら、この鉄塔の先の472mピークで右折して、尾根伝いに南下を開始します。地形図に破線路が描かれている尾根なので、少なくとも過去には道があったはず。
その尾根は、はじめの傾斜が緩やかな間は、なんとなく道形が残っているような感じだったのですが‥‥。
でも一旦傾斜が増してしまうと、もう道形を追える場所はほとんどなくて、あとは道なき道を進むことに。
こうなると、地図と方位を手掛かりに進むことになりますが、なんとこんな時に限ってアウトドア腕時計の方位計測が電圧低下で作動せず(電池交換の時期が迫っていたとは!)、方角を定めて歩けないということが発覚。
仕方なく、いきなり最後の手段であるはずのGPSの出番となってしまいました。GPSの助けを借りたので、進路に迷う必要がなかった反面、自力で「バリエーションルートを歩いた」と言える状況ではなくなっています。
しかも、GPSを頼ったから楽に進めたかというと決してそうでもなく、急斜面の多くはすでに人が歩ける状況にはなかったため、転滑落しないよう細心の注意が必要でしたし、倒木などに行く手を阻まれて迂回を余儀なくされた箇所も多く、近道をしたつもりが、時短にも体力温存にも全くならなかった気がしています。

間近に迫った冷川峠は県道が切り通していて、峠とその前後は垂直な擁壁の連続で直接下ることができません。
峠の南側の斜面のほうが勾配が緩いことは地形図からも読み取れますが、Googleのストリートビューでも南側のほうが歩きやすそうな斜面に見えていたので、眼下に県道が見えてきたら、少し南に進路を補正します。
とはいえその南側もかなりの急斜面で、最後は滑り降りるようにして下るしかありませんでした。
ということで、降りてきたのは冷川峠の少し南側。道路標識の「冷川峠」はこちら側にありました。
そこから少し登って軽く峠越え(笑)をして、冷川峠の北側に出ます。伊東と修善寺を結ぶバス路線の停留所はこちら側にありました(写真左端のポストがバス停です)。
峠の北側に回ってきたのは、そこに送電線巡視路の入口があるからなのでした(黄色いポストがその目印)。この日はもう一般登山道を歩くことはなく、冷川峠にも道標など古城山への案内を示すものは何もないのです。
ただ、道なき道を突破した直後ですし、これから始まる古城山への登り返しを前に、ここで少し息を整えました。

送電線巡視路で尾根に上がると、ネットから得ていた情報通り、防火帯として開けた尾根がずっと続いていました。ほぼ1本道なのに、最近の物らしい真新しそうなリボンも割と頻繁に見られて、なんだか至れり尽くせり。
一応はここもバリエーションルートの範疇なので、地形図を片手に現在地を確認しながら歩いていましたが、古城山までは進路が明瞭すぎるくらいに明瞭で、そんなことをしなくても誰でも迷わずに歩けるような状況でした。
進路は明瞭でも、最初に越えて行く470m圏の小ピークまでは急登もありました。一般登山道ではないだけに踏み固められていない地面が脆くて歩きにくかったので、少しはこういう所を歩いた経験がないと難儀するかも。
その後は何度かのアップダウンを繰り返しながら進みます。気持ち良く歩ける緩やかな場所も結構ありました。
防火帯の両側には、桜並木が続いている区間が多くて、花の時期には華やかな雰囲気に変わるのではないでしょうか。今では見に来る人などほとんどなさそうなこんな場所に、人知れずこんな立派な桜並木があるなんて。

そうこうするうちに、古城山に到着。頂上にはそこそこの広さがあって、ゆったりとした佇まいでした。
ある物は標識と三角点だけで、あまり人が来ている気配もなく、寂峰という言葉が相応しいような頂上です。
周囲を樹木に遮られて、展望はほとんどありませんが、むしろそれもマイナーな山らしくて好ましい感じ。
変にほかに気を惹かれることがない分だけ、この場所自体が持つ雰囲気にどっぷりと浸ることでができ、自然の音だけが奏でる静けさの中にいると、自分もその自然と一体化できたような気がしました。

その後も同じような尾根が続くものと思っていたら、防火帯は古城山のすぐ先で終了となりました。
防火帯が途切れて分かりやすい1本道ではなくなり、リボン等の目印もほとんど見なくなるので、510m圏のコブで直進する明瞭な尾根を見送って左に折れる箇所では、地形判断が必要でした。古城山を境に、元々少ない入山者がさらに減った印象で、尾根上の踏み跡はあっても微かになり、倒木やヤブも増えた感がありました。
それでも、松川湖への道が分岐する480m圏の小ピークまでは、地形図を見ていれば難なく歩ける尾根でした。その480m圏の小ピークには、この尾根を歩き始めて以来初めて見る分岐標識が立っていて、前後の方向を「鹿路庭峠-冷川峠」、左折方向を「松川湖」としていました。かつてここが一般登山道だった頃の名残なのでしょう。

松川湖へ下る道は、ネット上にほとんど情報がなかったものの、標識がきちんと示していることに加えて、最新の地形図が実線(軽車道=道幅1.5m~3mの道路)で描いている(それを元にしたらしいGoogleマップでも二本線で描かれている)ので、事前にはあまり不安に思っていなかったのです。しかし現地に来て、その手前から主稜線ですらほとんど踏み跡を見なくなっていたことに一抹の不安を感じていたら、それが的中してしまいました。
標識が示す方向に歩き始めたら、案の定、いくらも時間が経たないうちに道形が消失します。それもそのはず、主稜線がそもそも満足に歩かれていないのですから、そこからの枝道なんてろくに歩かれている訳がないのです。
せめて尾根筋がハッキリしていれば、地形図だけを手に歩けたかもしれませんが、上のほうの急斜面では尾根自体も不明瞭で、すぐにGPSのお世話になることに(ここはコンパスが作動したとしても、GPSがないと難しかったかもしれません)。また方角を決められたとしても、そこにあるのが転げるような急斜面だったりして、安全に立てる足場を慎重に見定めつつ少しずつ下る必要があるなど、特に上のほうでは厄介な局面が続きました。

それでも下るうちに、地形判断で進める場所が多くなります。時にはこんな穏やかな箇所もありましたが‥‥。
断続的に急斜面が現れて、いつまでも気が抜けません(方角を迷う箇所がなくなったのは幸いですが)。ここにかつて登山道があった頃、一体どんな道筋を描いて下っていたのか、現状からは全く想像が付きませんでした。
遭難が頭をよぎるような状況ではなかったとはいえ、目指している車道が見えてきた時はホッとしました。
しかし最後まで、楽に降ろさせては貰えませんでした。車道への降り口は、ネットの情報で石段となっていて、ただそれを下るだけで良いと思っていたら、今やその石段が完全に埋まっていたばかりか、その上に落ち葉が降り積もって、すっかり滑り台と化していたのです。ここを人が歩かなくなってから、どれだけの月日が経っていたのでしょうか。石段脇の竹などを掴んで身体を支えながら下りますが、途中で1度滑って尻餅をつかされました。

それでも道路に出てしまえば、あとはバス停を目指すだけで、もう何の心配もありません。道路のすぐ下には、奥野ダムによって生まれた松川湖があって、その湖畔まで降りると河津桜が満開となっていました。
上の写真でも左奥に写っていますが、松川湖に注ぐ落合川に架かっている「奥野エコーブリッジ」を渡ります。
「奥野エコーブリッジ」の上から、松川湖を眺めてみました。
その後は湖畔の遊歩道を歩いて、右奥に見えてきたダムの堤体に向かいます。
ダムの堤体上には石碑などがありました。
堤体上から見た松川湖です。
堤体上は自由に横断できるようになっていました。

ひととおり湖の景色を楽しんだら、洪水吐き脇の階段で、ダム堤体の斜面を下って行きます。
堤体の基部まで下ってきたところに、「おくの公園」があります。予め目を付けておいた通り、ここには全く人がいなかったので、バスに乗る前に着替えなどの身支度を済ませておくことができました。
「おくの公園」を後にしたら、バス道路までもう少しだけ車道を歩きます。県道を進むのが近道でしたが、時間には余裕がありましたし、県道は交通量が多いのに歩道のない区間があることをGoogleのストリートビューで見ていたので、少し遠回りになるけれど車がほとんど通らない細い道を選びました。
城の平バス停には待合所があって、中で椅子に腰掛けてバスを待つことができました。

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登り尾・三筋山 [伊豆]

2014/02/01(土)

■第276回 : 登り尾(1056m)・東猿山(1130m)・三筋山(821m)


この日の行先は伊豆半島。登ってきたのはいずれも地味な山ですが、縦走の最後に訪れた三筋山は、開放的な草原状の頂上から見渡す360度の展望があり、とりわけ山と海の両方の景色を一望できるのが楽しみでした。

なお、この日はいろいろと釈然としないこともあったのですが、ブログで書くには長くなりすぎてしまいますので、細かな話については上記リンクから詳細ページをご覧下さい。

(往路)
古淵 05:15-05:19 町田 05:33-05:55 本厚木
本厚木 05:59-06:37 小田原 06:45-07:08 熱海
熱海 07:23-08:32 河津 08:40-09:17 登尾

(登山行程)
登尾バス停  09:20
登り尾    10:55-11:05
新山峠    11:25
登山道合流点 12:05
東猿山    12:30-12:40
805mピーク  13:40-13:45
三筋山    14:05-14:20
伊豆稲取駅  15:55

(復路)
伊豆稲取 16:03-17:11 熱海 17:16-17:38 小田原
小田原 17:52-18:47 相模大野 19:05-19:20 南警察署前


大きなマップで見る

今回は南伊豆フリー乗車券を利用しました。
バスの利用区間が短かったため、節約できた金額はたった10円に過ぎなかったのでしたが。
伊豆急線を河津駅で降りて、東海バスに乗り継ぎます。
バスの乗客は、若い女性2人組と私だけで、シーズンオフとはいえ寂しい車内でした。
登尾バス停で下車したら、すぐ先で国道から分岐する林道を歩き始めますが、道標はありませんでした。なお女性2人組は手前の河津七滝で降りていたので、私が降りた後、バスは空気だけを運んで走り去って行きました。

はじめは、やや荒れた、そして曲がりくねった林道で、緩やかに登っていきます。
4回目のヘアピンカーブの所で、カーブの外側にペンキマークの付いた木々が並んでいるのを発見します。
現在は林道が登山コースとされていますが、林道がこのあと大きく回り道をしてしまうのに対して、かつては直線的に登る登山道が存在していたので、その痕跡がないかと気を付けていたのでした。
道の痕跡は残っていませんでしたが、稀に歩く人がいるのか、所々に足跡が見られるので、旧登山道に違いありません。ペンキマークもずっと続いていて、進路にも不安がなさそうですし、ここを進んでみることにします。
このあたりまで、ひたすら急斜面が続きました。2日前の雨で地面が少々緩かったこともありますが、場所によっては手を付いて這うようにしないと登れなかったほどの傾斜です。
これほどの急坂ならば、かつて登山道だった頃はジグザグを描いていたはずですが、現在は直線状にしか適当な足場がなく、強引に登り切るしかありません。初っ端からいきなり大汗をかかされてしまいました。
しばらくすると、最初に歩いていた林道が、大回りを終えて再び接近してきていました。
現在の登山口はこの近くにあるので、間もなくそこから始まる正規の登山道が合流してくるはずです。

ところが、いつまでも登山道と出合うことがないまま、稜線まで出てしまいました。
その後も、登山道が近くを通っている気配すら全く感じられません。
踏み跡の乏しい尾根を、ペンキマークやテープなどのサインを追いながら歩くしかない状況が続きます。
標高が900m近くなり、かなり頂上に近付いた頃になって、ようやく明瞭な道が合わさりました。写真はその地点で振り返ったもので、私が歩いてきた方向は、下山時の誤進入を防ぐために地面に枝が並べられています。
一方の明瞭な道はというと、右手側から合わさるとばかり思っていたら、なんと左手側から合わさってきたのでした。ここまでの途中のどこかで一度、その明瞭な道を横切っていなければ、説明が付かないことなのに、そんな覚えは全くありません。大いに腑に落ちなかったのですが、モヤモヤがこの1度だけで終わらないとは‥‥
一旦は明瞭になった道ですが、頂上が近付いて緩斜面になると不明瞭となり、テープが頼りとなります。
登りなので、適当な場所を歩いてもどうにかなるのですが、登山道としては心許ない状況でした。

登り尾の頂上に着きました。こんな地味な山ですから、想像通り誰もいません(というか、結局この日は自分以外のハイカーを全く見掛けませんでした)。
頂上には、三角点と標識のほかは、私製と思われる道標があるだけでした。
樹木に囲まれて展望もほとんどありませんが、唯一天城山の方向だけが、少し開けていたようです。

登り尾から新山峠への道も、落ち葉が地面を覆うという季節的な要因も手伝ってか、道はしばしば不明瞭になります。テープの誘導がなければ迷わずに歩けない状況で、とても満足な登山道があるとは言えない状況でした。
新山峠に着くと、そこにはこの日初めて見るマトモな道標が立っていました。
新山峠には、「登尾循環歩道」なるものを示す標識も。しかし、登山道ですら満足な状態でなくなっている山のこと、当然この歩道も、もはや明瞭な道形を見出すことはできませんでした。

新山峠から、登山道だけを歩いて三筋山に向かうには、一旦寒天林道まで下ってから登り返すことになります。
余計なアップダウンもさることながら、距離的にも随分と遠回りになってしまうので気が進まず、この先に続く尾根筋を適当に拾いながら、直線的に三筋山遊歩道を目指すことにします。

どうやら私と同じことを考えた先人がいたのか、新山峠のすぐ近くにある999mピークまでは、地面のあちこちに人が歩いた痕跡が見られましたし、尾根を登るだけですから易しい道のりでした。写真は999mピークです。
999mピークを過ぎて下りに変わると、方角だけが頼りになりますが、間もなくこんな明瞭な道形に遭遇しました。
ここは、ちょうど地形図にも破線路が描かれている場所です。今ではほとんど歩かれなくなっているはずですが、かつての道が、地形に刻まれたまま人知れず残されていることに、なんだかロマンを感じてしまいます。

そこから1085mピークの手前までは、その明瞭な道形に導かれて難なくたどり着きます。
その後、1085mピークを前にして下り始めてしまう道形と分かれて、ピークの北西斜面をほぼ水平に巻いていくと、そこでも先人の足跡を見ることができました。登り尾と三筋山を繋げて歩こうと思ったら、やっぱり誰だって、こうしてショートカットしたくなるんだろうなぁ。

1085mピークを巻き終わり、平坦な地形を進むようになると、間もなく前方に何やら白い物が見えてきました。
白い物の正体は、三筋山遊歩道の案内図でした。すなわち、ここで登山道に合流です。
これだけ明瞭な登山道を見るのは、この日初めてです。ここから先はこの遊歩道をずっと歩くだけですから、もう何の問題もなく最後まで歩けるものと、この時は信じていたのですが‥‥
それにしても登山道って、なんて歩きやすいんでしょう。ここまで、マトモではない道ばかり歩いて来たからか、歩きやすさが身に浸みます。普段は苦手とする木段も、この時ばかりは有り難いとさえ思えました。

1130m圏のピークにはベンチが置かれていたほか、樹木の幹には私製の標識も取り付けられていました。
その標識、「らしい」には苦笑させられましたが、私にとってはここがこの日の最高点。全く名前がないよりは、少々不確かなものでも、呼べる名前があることで、記録上も扱いやすくなって良かったです。
東猿山までの登りもそうでしたが、東猿山からの下りも木段の連続で、少しでも傾斜がある所はいちいち木段になっています。登りではあまり気にならなかった木段も、さすがに下りでこれだけ続くと気が滅入りました。

ほどなく、前方に道路と駐車スペースが見えてきました。「林道分岐」という地点まで来たようです。
「林道分岐」には東屋も建っていました。この、のんびりとした雰囲気が、まさかこの直後に激変しようとは。
「林道分岐」のすぐ先で再度登山道に入る地点には、風力発電施設建設に伴う通行止の看板が立っていました。
案内されている内容は、事前に東伊豆町のウェブページで確認していたものと同一で目新しさはなく、ここで改めて読み直してみても、昨年12月から今年2月までが通行止期間外であることに間違いはありません。
それにしては、入口をロープが完全に塞いでいるのが腑に落ちないのですが、すぐ横に立つ看板が現在を通行止期間としていない以上、ロープによる封鎖に従う理由はないと判断しました。きっと昨年11月に工事を一旦中断した際に、ロープを外し忘れただけなのだろうと解釈して、あまり深く考えずに工事区間に足を踏み入れます。
登山道を少し進むと、間もなく工事区間に入ります。すると目の前には、本来あったはずの山肌がズタズタに切り裂かれた、こんな光景が広がるようになりました。とはいえ、このあたりの稜線一帯に、計21基もの巨大風車を建設しようという大工事であることは知っていましたから、このくらいはまだ想定内です。

ところが耳を疑ったのは、次第に進行方向から重機の発する工事音が聞こえるようになってきたことです。
掲示されていた工事期間が変更されたのか、なんとこの日も工事は行われていたのでした。これでは、事前に入念な下調べをして、通行止期間外に合わせて計画してきた意味など全くなく、腹立たしさすら感じます。
進むにつれて、実際に重機が作業している場所も出てきます。こちらにも言い分があることなので、構わずに通り抜けましたが、結構離れていたのにクラクションを鳴らされたりして、歩行者はすっかり邪魔者扱いでした。
元々あった登山道を潰して、工事用道路があらぬ方向に伸びたり分岐したりしているのに、歩行者用の案内はほとんどが取り払われていて、どうやら工事する側としては、完全に通行止め中というスタンスらしかったです。
そんなわけで、地図とGPSを確認しながら歩かない限り、本来の登山道の位置をトレースすることも不可能なのでした。もしもそれらの用意もなく工事区間に突入していたら、進路が分からずに戸惑ったことでしょう。

しばらくは、肩身の狭い思いをしながら、こんな景色の中ばかりを進みます。
途中にある「展望所」は、工事による魔の手からは逃れていて無事でした。
展望所から進行方向を見ると、この先の稜線上も風車建設のための道路工事がずっと続いている様子が良く分かりました。中には重機の音が盛んに出ている場所もまだ何箇所かあるようです。ちなみに手前のピークは次に向かう805m峰で、その左奥が最終目的地の三筋山ですが、そこまで制止されずにたどり着けるのでしょうか。

805mピークも、頂上に風車を立てる計画はない模様で、頂上部だけは工事の影響もなく無傷でした。
ピークでは360度の展望が得られました。こちらは東側を中心とした眺めで、天城山はほぼ真北、三筋山は南南東ですから、180度近い範囲を1枚にまとめたことになり、ブログの横幅に合わせた写真は小さくなりました。
下は縮小写真にガイドを入れたもので、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
東西方向に連なる天城山は、南側から見ると真横からの姿となって、堂々とした山容が良く分かりますね。
そして天城山のさらに東では、目障りな風車がズラリと立ち並ぶ尾根が目立っていました。
今いる三筋山一帯も、近い将来にああなってしまうのかと思うと、とても残念です。
805mピークから、次に向かう三筋山を望みます。この写真の範囲は比較的平穏に見えますが、写っていない鞍部一帯では、やはり工事が大々的に進行中でした。

幸いにも、805mピークと三筋山の間は、稜線上は概ね無傷で、大半の区間で登山道を歩くことができました。
最後に登り詰めた三筋山は、広くて開放的で伸びやかで、居心地の良い草原状のピークです。
三筋山の頂上には、ちょっとした展望台があって、それぞれの方角の展望図が添えられていました。
三筋山からの展望も360度で見応えがあり、山だけでなく海が広く見渡せるのも魅力に感じました。
こちらは北側を中心とした180度以上の範囲を1枚にしたもので、馴染みのある山は少ないながらも、天城山や伊豆山稜線など、伊豆半島核心部の山々をズラリと見渡せているさまが壮観です。
下は縮小写真にガイドを入れたもので、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
天城山のアップです。右手前に見えているのは、伊豆天城ハイランドの別荘地ではないかと。
こちらは東側の展望。海側の眺めが霞んでいるのが残念だったのですが、なんとか伊豆大島も見ることができました。(画像にマウスオンすると、伊豆大島の位置を示します)
そして南側を見ると、ぼんやりとですが、下田の先にある爪木崎まで見渡すことができていました。

いつまでもいたくなるような雰囲気に名残惜しさを感じつつ、三筋山の頂上を後にします。
三筋山からの下山方向にも、開放的な草原と爽快な眺めが続いていました。
絶景ポイントがあるというので、矢印が示す先の小高い丘に登ってみると‥‥
海側の景色を、三筋山からよりも広範囲に見渡すことができました。
海の青さが、もう少しクッキリと鮮やかに見えていたらなぁ。せっかく空気の澄んだ冬を選んで来たのに。。。
下は縮小写真にガイドを入れたもので、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。

三筋山は、すぐ下まで車道が延びてきていて、なんと頂上から10分もかからずに、車道に降りてしまいます。
ということで、三筋山からの下山はほとんどが車道歩きなのでした。
こうして景色が爽快なうちは、あまり苦には感じないのですが、さすがに700mに及ぶ標高差をすべて舗装道路で歩くのは結構辛かったですし、こちら側から登ろうという気にもならないと思います。
しばらくは、一面がススキの斜面を下ります。ススキが見頃の頃には、素晴らしい景色が広がりそう。
下る途中で三筋山を振り返ると、見渡す限りススキという眺めが圧巻でした。

ススキの斜面を下り切ると、あとはほとんど見所のない車道歩きが延々と続いて、とても長く感じましたし疲れましたし、なかなか退屈でした。
長い車道歩きの中で唯一の見所が細野湿原だと思っていたのですが、湿原自体は小規模で、しかも冬枯れの今の時期には特に見るものもなかったようです。でも、三筋山を背景にした大らかな景色は素晴らしかったです。
まる1時間車道を歩き続けて、ようやく伊豆稲取駅が見えてきました。
本日のゴール、伊豆稲取駅です。

朝に乗ったのは普通のボックスシートの電車でしたが、帰りは「リゾート21」が来ました。
「リゾート21」はこのように海側を向いたシートが特徴で、これでも普通電車として運行されています。
夕刻が近付いて、海側の眺めはくすんだ色合いになっていましたが、最後まで景色を広く楽しめたのは良かったです。左端に写っているのは初島。

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