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弓立山・堂山・雷電山 [奥武蔵・秩父]

2017/04/22(土)

■第351回 : 弓立山(426m)・堂山(250m)・雷電山(418m)


この日、関東南部は雲が多くて午後には雨も予報されていたのに対して、北に行くほど降水確率が下がって日差しすら期待できそうだったので、埼玉県北部の山行計画の中から、短めのコースを選んで歩いてきました。

一番の楽しみだった弓立山からの展望が、曇り空で近い範囲にとどまってしまったのは残念でしたが、あまり期待していなかった堂山・雷電山界隈が、意外にも気持ち良く歩けるエリアだと分かったのが大きな収穫でした。
美しい雑木林の中に、緩やかで快適な登山道が続いていて、とても楽しく歩けたので大いに気に入っています。

(往路)
古淵 05:36-05:58 八王子 06:08-06:55 高麗川
高麗川 06:58-07:09 越生 07:26-07:36 瀬戸

(登山行程)
瀬戸バス停     07:45
弓立山       08:45-09:00
別所橋       09:30
堂山        10:00-10:10
雷電山       10:50-11:10
雀川砂防ダム公園  11:50-13:00
雀川ダム入口バス停 13:10

(復路)
雀川ダム入口 13:20-13:28 小川町駅入口
小川町 14:38-15:07 高麗川 15:30-16:17 八王子
八王子 16:29-16:41 橋本 16:43-16:54 古淵


大きなマップで見る

JR八高線を越生駅で降りたら、今回初めて利用する、ときがわ町路線バスに乗り換えます。
ときがわ町路線バスに乗って約10分、瀬戸バス停で降りて歩き始めます。

はじめは車道歩きが続きます。序盤は、進行方向がほぼ西を向いていて、最初に登る弓立山を見上げながら歩く具合でした(中央やや右寄りで草原状に見えているのが頂上です)。
しばらくは緩やかな坂道で楽に歩けましたが、この三叉路を直進すると、あからさまな登り坂に変わります。
弓立山入口バス停を通過する頃には、すっかり身体が暖まって、羽織っていたジャケットが不要になりました。
大附集落に入ると、間もなく左手前方に大附そば道場の建物が見えてきました。
そば道場への道が分かれるT字路には、大附そば道場入口のバス停とトイレがありました。以前は路線バスがここまで入っていたので、ほとんど車道を歩かず弓立山に登ることが可能だったのですが、現在このエリアには平日運行のデマンドバスでしか来られなくなってしまっています(先程通過した弓立山入口バス停も同様です)。

大附そば道場入口のバス停を過ぎるとすぐ、右手に分かれる山道がありました。2013年版の登山地図ではこの付近に登山口が書かれているので、その頃の道なのだろうと思われますが、入口の道標が倒れて草に埋もれていることからも、現在はあまり歩かれていないと考えるほうが良さそう。最新の登山地図では登山口の位置が変わっているので、そこを目指すことにしてこの入口は見送り、もう少し車道を歩きます。
さらに3分ほど車道を歩いて、道標が立つ分岐点に来ました。ここを右に入ると、間もなく山道が始まります。
山道は思っていたよりも明瞭で安心しました。登山口がやや遠回りな場所にあり、車道を歩けばもっと短いコースで弓立山に向かえるので、この山道をマトモに歩く人は少ないかもしれないと心配していたのです。
ところが、道が良く歩かれていたのは、近くに畑地や墓地などが見られた間だけ。それらがなくなると途端に道は細くなり、ヤブっぽくなってしまいました。やはり、この区間はあまり歩かれていないようです。
クモの巣に引っ掛かることもしばしばで、その煩わしさに気分が萎えます。ここを快適に歩けるのは真冬の間だけなのかもしれません。それから、少し前に見送った旧登山道がどこかで合流するものと思っていましたが、ハッキリとは分からなかったので、旧登山道の入口はスルーしたのが正解だったようです。
それでも10分ほどでヤブ道を抜けて、1本上の車道に出ました。が、車道に上がって振り返ると、不明瞭な山道は存在感に乏しく、道標等もないので、下りの人がこの道に入るのは(往復コースでない限り)難しそうです。

車道に出た所はT字路になっていて、道標は登っていく道を「弓立山頂上」としていました。しかし、引き続き山道を歩くコースもあるので、今回は山道を歩くことにこだわって、この車道は見送ります。
少し車道を歩いていくと、次の山道への入口はすぐに現れました。
こちらも、すぐ先に不明瞭な区間があって少し迷いましたが、どうにか次の道標の地点にたどり着いています。
少し登ると、山道は九十九折りの車道のすぐ脇を通り、ここまで車道を歩いてきた人も、ここから山道に入れるようになっていました(この写真は合流点を振り返ったもので、山道は右端のあたりを登ってきました)。
合流点以降、山道は車でも通れるほどの道幅に変わり、まるで林道のような雰囲気になって頂上を目指します。

弓立山の頂上に着きました。当初参考にした2005年発行の「埼玉県の山」で、「植林の中に三角点が埋まるだけの頂上」と書かれていたものが、現在はこの通り見晴らしの良い開放的な場所に変わっていて、最新の登山地図でも「好展望」と注記されるまでになっています。
頂上標柱が黒く煤けている理由を、この時まだ私は知りませんでした。
ここまで全く登山者と会わずに登ってきて、頂上にも登山者の姿がなかったのは、9時前という早い時間だったからでしょうか。その代わりパトロールの帽子を被った男性の方がいて、いろいろとお話をさせて頂くことに。
その中で、4年前にここで山火事が発生していたことを初めて知りました(確かな原因は分かっていませんが、BBQの火の不始末によるものだとか)。樹木がなくなってサッパリした景色になっているのは、その被害によるものだったのです。現在は地元の方が植樹を行い、ツツジなどを育てているとのことで、なるほど東西両側の斜面には若い樹木が並んでいる一画がありました。早く以前のような姿を取り戻せることを願ってやみません。

失火の産物とは言え、せっかくの展望ですから楽しんでいきたいところです。でも埼玉県北部まで来たのに、あいにく雲が多くて遠くまでは見渡せません。大きく開けていた東側は、聞くと条件次第で筑波山や日光連山が眺められるらしいのに、この時はバスを降りた瀬戸付近や、次に向かう雷電山などが見られる程度でした。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
一方の西側は、樹木などに少し邪魔をされてスッキリとした眺めではないものの、やはり男性の話によれば浅間山などが見られるとのこと。しかしこの通り、近くにある奥武蔵の山々を見渡せる程度にとどまりました。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。

弓立山から、北側の桃木方面に向けて下っていくと、ほんの数分で稜線上に巨岩が点在する一帯に出ました。
男鹿岩の標識がありましたが、標識の先にある一番大きな岩を指すのか、全ての岩の総称なのかは不明です。
とりあえず一番大きな岩に登ってみましたが、その上からも特段の眺めはありませんでした。

男鹿岩を過ぎると、しばらくは傾斜の緩やかな尾根道が続いて、とても気持ち良く歩けました。
この道、現在は八幡神社の近くに出ますが、古いガイドブックには途中で尾根を外れてときがわ幼稚園付近に下ると書かれているので、その道がどこかで分かれるものと思っていたら、それらしい分岐はなかったようです。
なだらかな尾根をほぼ末端まで歩き通して、最後だけ木段でガクッと下ったところが登山口でした。
登山口を振り返ります。そろそろ、これから登る人がいそうな時間なのに、結局誰にも会いませんでした。

登山口付近からは、最後に登る雷電山が見られました(写真中央右寄りで少し奥まって見えているのが頂上)。
二車線の県道を横断したら、地図にも載っていない細い道に入って、左端に写る住宅の裏を抜けていきます。
細い道を下ると、すぐに都幾川にかかる別所橋に出ました。
別所橋の上から、都幾川の上流方向を眺めたところです。
川辺には「ときがわ水辺の道」が整備されていて、近くには三波渓谷や温泉施設の四季彩館などもあるので、昼間になればもう少し賑わうエリアなのでしょう。またこの地図によると、都幾川には飛び石で渡れる箇所が近くに2箇所あるようです。予めそれを知っていたら、次の雷電山へ歩くコースを少し短縮できたかもしれません。
別所橋を渡ると、今度は次に目指している堂山を近くから見上げるようになりました。
T字路を右折した先には別所バス停がありました。今回選んだ堂山の登山口に最も近いバス停の1つです。
住宅が点在する静かな道を少し歩いたのち、この三叉路から本郷受水場へと続く登り坂に入ります。

本郷受水場の前まで登ると、受水場の前から分岐する林道を道標が示していました。
林道を進むと奥に別の水道施設が現れたので、これはその施設の管理用の道でもあるのでしょう。途中にはこんな分岐点もあって、ここで合流してきたのは、道標によると日影バス停からの山道のようです。
さらに奥にはまた別の水道施設があり、林道もここまで延びていました。やっと山道に入った頃には、道標は堂山まで「0.3km」を示していて、山道を歩ける距離はごく短かったことになります。
それでも山の中に入ると、植林も見られるものの、雑木林の中を縫う区間も多い気持ちの良い道になりました。地面が落ち葉でフカフカの場所もあったので、新緑や紅葉の時期には景色も楽しめそうです。そして、弓立山よりも北に移動して来たのが良かったのか、時々日が差すようになってきました。

堂山の頂上に着きました。最近まで登山地図にルートが書かれていなかったようなマイナーな山だけに、現在でも頂上にほとんど人の手が入った様子はなく、ただ雑木林が広がるはかりで標識のほかには頂上を示す物もない(正確には、もうひとつ何か良く分からない山行碑がありましたが‥‥)、ちょっと物寂しい雰囲気の場所です。展望もほとんどなければ、腰掛けられるような物も何もないので、立ったままで少し休憩していきます。
この標識の右下あたりから登ってきましたが、その道がある方向と、標識が指している方向が一致していないので、逆コースで歩く人にとっては、ここからの下り口を見つけにくいかもしれません。

堂山から雷電山へ向かうと、ほとんどアップダウンのない穏やかな道をしばらく歩けるようになります。所々に分岐点が現れますが、どの地点にもきちんと道標が設置されていて、しっかりと整備されている様子でした。
本当に平坦に近い稜線で、ここは歩いていてすごく気持ち良かったです。
途中には「別所下降点」という分岐もありました。別所から通じている道が、先ほど登ってきた道のほかにもう1本あったことになりますが、このように入口が通せんぼされていたので、今は通れないのかもしれません。
長らく続いたほぼ平坦な尾根が終わりを告げたら、その先にはいきなりの急登が待ち構えていました。
急登に取り掛かると、すぐに道が3本に分かれていて、少々迷いました。直進して尾根通しに直登する道と、右の斜面をトラバース気味に登る道は、同じくらいに明瞭です。左斜面に分かれる道も、踏み跡としてはやや不明瞭なものの、先の方に設置された補助ロープが見えているので、ちゃんと歩けるようになっているっぽいです。
下りだったらどこを選んでいたか分かりませんが、今回は登りなので、真ん中の直登ルートを選択しました。長い補助ロープが下がっていて、斜面の勾配はロープを頼らなくてもなんとか登れる程度ですが、脆くて崩れやすい不安定な地面は踏ん張りが効きにくく、ロープの存在が有難かったです。
急斜面も上部になると、勾配が少し緩んだ上に地面も安定して、普通に歩いて登れるようになりました。ただ、下で左右に分かれた2本の道がどこで合流したのか分からなかったことが、少し気になっています。

雷電山に到着しました。樹林に囲まれて全く展望のない頂上には、小さな社が2つあって、古くから信仰の対象とされていた様子が窺えますし、今もきちんと手入れされているようです。
上の写真の奥のほうで背中を向けている社の正面に回ってみると、近くには石祠も2つ置かれていました。
三角点の近くに散乱している木片は、以前は私製の山名板だったもののようです。
ここまで来れば、あとはもう下るだけです。バス停まで1時間もあれば余裕で下れそうなのに対して、バスが来るのは2時間後なので、居心地の良い頂上ならば長居をしていこうと思っていました。
が、決して居心地が悪い訳ではなかったのですが、見通しが悪い割に風通しは良くて、腰掛けてじっとしていると風に吹かれて身体が冷えてきてしまったので、休憩は20分で切り上げて、先に下ってしまうことにしました。

雷電山からさらに北へ下ると、たびたび日が差すようになってきました。
傾斜が急になる箇所のない、歩きやすい道が続きます。雑木林が主体の周囲の景色には、心も安らぎました。
集落やバス停がある日影方面に直行する道(左)と、雀川ダムへ向かう道(右)との分岐点です。前者は、時間に余裕がない場合のエスケープルートとして考えていましたが、余裕があり過ぎるくらいなので、迷わず左へ。
一貫して、穏やかで歩きやすい道が続きます。植林の中を抜けることも増えていきますが‥‥。
雑木林も断続的に現れて、この時期らしい柔らかな緑の中を、清々しい気分で歩けました。
道標による道案内も、最後まで万全でした。

登山口まで下りてきました。結局この日は、登山者を全く見掛けることのないまま歩き終えています。
林道に出たところから登山口を振り返っています。道標には「雀川ダム登山口」と書かれていました。
雀川右岸の登山口から、林道の橋で左岸側に渡る予定でしたが、すぐ下を流れる雀川を見ると、もうこのあたりから川原が公園として整備されていて、飛び石で渡れそうに見えるので、下に降りてみることにします。
やはり飛び石で渡ることができたので、距離はわずかにショートカットできたことになります。でもその代わり、少しばかり余計な登り下りをすることになったので、どちらが体力的に楽だったのかは微妙なところかと。

左岸側の林道に上がったら、下流に向かって少し進んでいくと‥‥。
すぐに見えてきたダム湖は、想像していたよりはずっと小振りでしたが、砂防ダムとしては大きなほうらしい。
間もなく雀川砂防ダム公園の「展望広場」に入ります。この先にある駐車場までは一般車でも上がって来られるので、休憩舎には少しだけ人の姿がありました。
ダムの堰堤は、湖のサイズに比例したような細さで、なるほどこれでは人を歩かせる訳にはいかないですね。
階段が続く遊歩道に入って、ダム湖の下流にある公園のメインエリアに向かいます。
ダム湖は満水で、階段道の途中から堰堤を見ると、中央の水通しから溢れた水が静かに流れ落ちていました。
階段道をさらに下ると、きれいに咲いたサクラを見ながら休めるベンチがありました。やや中途半端な位置にあるこの場所は、訪れる人の少ないこの公園の中でもとりわけ人通りが少なくて、落ち着いて静かに過ごすことができたので、最終的にはここで長居をすることになっています。
上の写真の場所から、公園のメインエリアにあたる「お花見・イベント広場」を見下ろしたところです。
「お花見・イベント広場」まで下りてきました。花見には少し遅く、すでに葉桜になっていたものが多かった中で、1本だけ見事な満開になっていた八重桜がありました。
しかも、この時ちょうど晴れてくれたので、割ときれいに写真が撮れました。
八重桜をアップで。
公園内には水辺のエリアもあります。
1時間ほどゆっくり過ごして、雀川砂防ダム公園を後にします。あまり天気がパッとしていなかったこともあってか、公園内で見掛けた人の数は1時間を通しても20人くらいで、どちらかと言えば閑散とした雰囲気でした。

雀川ダム入口バス停までは、ゆっくり歩いて10分ほど。ここから、朝と同様ときがわ町路線バスを利用します。
小川町駅へ向かうにつれて、すっかりいい天気に変わりました。ただこの時間は、八高線への接続が悪いのが難点で、ここで再び1時間以上の待ち時間が発生してしまいます。駅前まで行くと周囲にほとんど何もなくて手持ち無沙汰になると分かっていたので、駅入口のバス停で降りて、近くで食事をしながら時間調整していきます。
食事を終えて小川町駅まで歩いてくると、上空にはスッキリした青空が広がっていました。でも関東南部で天気が崩れるという予報は当たっていて、このあと帰路で南下する途中では、何度か車窓を雨に叩かれています。

最後に少しだけ補足しておきますと、後半に歩いた堂山・雷電山は、最新(2017年版)の登山地図でも赤破線コースになっているのですが、登山道は明瞭でしかも歩きやすかったですし、道標などの整備状況も申し分なく、一体何の問題があって一般登山道とされていないのかが疑問に思えるほどの状況でした(地図内に「道標なし」と注記されている地点にも、現在は道標が設置されているようです)。
どちらの山も展望がない上に、頂上の居心地もお世辞にもあまり良いとは言えず、アクセスが不便なことも合わせて考えると、今のままでは広く一般的な人気が出ることはなさそうです。でも山道はとても気持ちの良い雰囲気でしたので、山を歩くこと自体が純粋に好きな人には、文句なくお勧めできるエリアだと思っています。
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払沢ノ峰・松生山・浅間嶺 [奥多摩]

2017/04/15(土)

■第350回 : 払沢ノ峰(858m)・松生山(933m)・浅間嶺(903m)


約1ヶ月ぶりの今回は、午前中に歩き切れる程度の短いコースで、奥多摩の低いあたりを軽く歩いてきました。
行先に選んだ浅間嶺は、訪れるのが今回で3回目。それでも、未踏だった笹平からの破線路を登り、積雪時にしか歩いたことのない上川乗への道を下ったので、ほぼずっと初めて見る景色の中を歩く感じになっています。

(往路)
古淵 05:36-05:58 八王子 06:08-06:23 拝島
拝島 06:26-06:44 武蔵五日市 07:10-07:40 笹平

(登山行程)
笹平バス停    07:45
払沢ノ峰     09:20-09:30
松生山      09:55-10:05
浅間嶺(展望台)  10:25-10:35
浅間嶺(小岩浅間) 10:45-10:50
上川乗バス停   11:30

(復路)
上川乗 12:08-12:50 武蔵五日市 13:02-13:19 拝島
拝島 13:30-13:42 八王子 13:50-14:02 橋本
橋本 14:04-14:15 古淵


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武蔵五日市駅からバスに乗って約30分、笹平バス停で下車します。私のほか、若い男性2人組が一緒に降りましたが、先行してから振り返っても彼らの姿を全く見なかったので、たぶん市道山方面に向かったのでしょう。
バスの進行方向に少し歩いて、道路の右カーブに差し掛かったら、このスロープを登ります。
続いて畑と林の境目のような所を登り、畑が終わる手前で振り返りました。これから登るのは登山地図の赤破線コース。ここまでは道案内の類が一切なかったので、迷わずに登り始めるためには事前の下調べが必要です。
林の中に少し入ったところで、やっと道標を発見しました。最初の道標が敢えてこんな奥まった場所にあるということは、ここから下の土地の所有者には、登山者が通ることがあまり歓迎されていないのかもしれません。

赤破線コースだけに、道は踏み跡レベルですが、不明瞭になることはほとんどありません。ただし冬の間に歩く人は少なかったのか、路面は少し荒れていて、特に登り始めのうちは歩きにくい箇所もあります。
そして、かなりの急斜面を、ほとんどジグザグを描くこともなく直登するので、かなり苦しい登りです。
単調な急登を続けること20分、標高500m付近に達したところで、急登は一旦収束しますが‥‥。
標高500m前後では、それまでの登り一辺倒が、小さなアップダウンの繰り返しに変わっただけでした。何回かの登り下りは、高低差は大きくないものの、傾斜は結構急だったりして、引き続き楽には歩けません。
そんなアップダウンが収まったら、その先に待っていたのは、再び急斜面の直登でした。
久しぶりに道標を見ました。道案内は最小限にとどまり、踏み跡も頼りないですが、進むべき尾根筋は明瞭ですし、紛らわしい分岐もないので、少なくとも登りで歩く限り、迷う心配はないでしょう。
そしてその道標の先で、容赦ない急登の連続になります。このように景色も何もなく、ひたすら苦しいだけなので、まるで修行のような登りです。二本足で立って歩くのが厳しい傾斜の箇所もあり、何度か手を添えたりもしているので、逆コースで歩く場合、下りが苦手に人にとっては少し怖いくらいの急降下になるのではないかと。

ササの中を進むようになると、その上が701m標高点のピーク。等高線が密集する急斜面が一段落するはずです。
701m峰を過ぎると、ようやく穏やかに歩ける箇所も現れるようになりました。
さらに、登山道の左側がいくらか見通せるようになって、少しは景色も楽しめるようになります。この時はまだ、その中で富士山が、ひと目でそれと分かるほど明瞭に見えていたのに、このあとは霞んでいく一方でした。
標高750m付近に達すると、この標識が短い間隔で次々と現れるようになります。私有地だからあまり勝手に歩き回るな、と言っているようにも感じましたが、明確なメッセージは何も示されていなかったので、登山者はギリギリ黙認されているのが現状なのかもしれません。事故を起こしたりして迷惑を掛けないようにしないと‥‥。

払沢ノ峰(858m)に到着しました。マイナールート上のピークらしく、ほとんど人が手を加えていない様子で、展望なども全くありません。ただ、標識がなければスルーしてしまいそうな地味さが、逆に本来のありのままの姿を見ているようで、むしろ好ましく感じられました。
腰掛ける物すら何もないので、立ったままで10分ほど休んでいきます。
「払沢ノ峰」という名前は、この私製の山名標が示していただけで、地形図はもちろん登山地図でも採用されていません。ただ、ネット上ではそこそこ定着しているようなので、この記録でも使ってみることにしました。

払沢ノ峰を過ぎてすぐ、細い尾根で小さなアップダウンを2~3回繰り返すあたりまでは、それまでとあまり変わらない雰囲気の道。でも、そこから先はゆったりした尾根に変わって、気持ち良く歩けるようになりました。
以降はさほど苦しい登りもないまま、松生山に到着しました。アンテナ施設がやや目障りですが、それなりに広さがあり、上空が大きく開けていて明るく、展望も良い頂上なので、雰囲気はまずまずです。
ここには7年前に浅間嶺からの往復で来ているので、この日初めて歩く道はここまで。でも7年前は2月の積雪時だったので、地面を見るのが初めてな道は、この先も上川乗バス停までずっと続きます(浅間嶺周辺は除く)。
北側には御前山が見えていました(標識の右後方で、木の枝と重なってしまっていますが)。
松生山からの展望の主役は南側です。すぐ近くに横たわるのは、長大な笹尾根の途中のほんの一部で、その奥には道志あたりの山並みがぼんやりと辛うじて浮かんでいました。すでに大いに霞んでしまっていた富士山は、それでも肉眼ではまだそれなりに存在感があったものの、カメラに収めるのは少し厳しかったです。
  ※下の写真にマウスを乗せると山名ガイドを表示します。

松生山から先も、登山地図では引き続き赤破線コースですが、なだらかな山稜を進むためか、道は格段に歩きやすくなりました。明るく開放的で気分の良い尾根道は、歩いていてもとても楽しかったです。
地形図の936m標高点付近で、「天領山 936m」という私製の山名標を見ました。ここがこの日の最高点です。
さらに進むと、今度は「入沢山 930m」という同じ体裁の山名標が。ただし緩やかな斜面の途中にあり、山頂とすべき地点ではなかったので、信憑性には疑問符を付けざるを得ません。
その後は急斜面をグングン下りますが、丹念に九十九折りを描いて道の傾斜が抑えられ、歩きやすくなっていた点が、それまでの道とは根本的に違っていました。松生山から先は一般登山道と呼んでも何の問題もなさそう。

急斜面を下り終えると間もなく、時坂峠から登ってくる一般登山道に合流しました。
分岐点付近には、山の中にしては平坦な地形が広がって、ゆったりとした大らかな景色になっていました。一般登山道に入ったことで、笹平バス停から出発して以来、ここで久しぶりに人の姿を見ています。
分岐点から先の区間を歩くのは、今回が3回目で勝手知ったる道。この坂を登れば浅間嶺の展望台に到着です。

浅間嶺の展望台が間近に迫ってきました。
浅間嶺の展望台に到着です。ここに写っているハイカーは1人だけですが、向こう側の斜面にもベンチとテーブルの組があって、そこにいた人を合わせると全部で10人くらいが休憩中だったでしょうか。
立派な標柱がありますが、ここは浅間嶺の最高点ではなくて、標高は890mほど。ただ、最高点がショボくて面白味のない地点なので、多くの人はここを山頂として登ってきますし、それで何の問題もないと思います。
北側には、奥多摩のほぼ全域をカバーする広範囲の展望が広がっていました。
とはいえ、いかんせん標高の低さが難点かな。見えているのが近い範囲の山々にとどまって、その奥に控える核心部の高山は雲取山を除いて隠れてしまい、あまりダイナミックな展望に感じられないのが惜しいところです。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
振り返ると南側には、樹木の間から覗く感じなので落葉期限定っぽい眺めですが、笹尾根が見られました(笹尾根の上に、道志の山々はまだ辛うじて写っていますが、富士山はもうすっかり分からなくなっていました)。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。

浅間嶺の展望台から軽く下ると、各方面からの登山道が合わさる地点に出て、そこにも休憩所があります。
この休憩所からの展望も良いので、上の展望台が混雑している時は、こちらでゆっくりする手もあるでしょう。
次に向かうのは浅間嶺の最高点。西に少し進んで行くと、浅間神社への分岐があるので、その案内に従います。
少し登った所に、浅間神社の祠がありました。でも、ここはまだ最高点ではありません。

さらに登って、この道標の立つ地点が、浅間嶺の最高点になります。
何もなく、地味を通り越して殺風景にすら感じますが、地形図や登山地図で「浅間嶺」と書かれた903mピークはこの地点。浅間嶺の標高を903mとする山行記録を書くならば、ここは踏んでおかなければならないでしょう。
「小岩浅間 903m」という私製の山名標が、樹木の幹に掛けられていました。

休憩所まで戻ったら、あとはもう上川乗バス停を目指すだけ。7年前に積雪の中を登って来た道を、初めて地面を踏みながら下ります。その時は雪化粧して少しロマンティックな雰囲気だったけれど、実際はやや面白味に欠ける植林の中の道。「関東ふれあいの道」とあって、整備が行き届き、緩やかで歩きやすいことが救いでした。
途中には何故かその一帯だけ、ほかと比較して格段に良く手入れされている植林地がありました。
そこで右手側の斜面を見下ろすと、整然と並んだ杉木立がとても美しくて印象的でした。
「関東ふれあいの道」だけに、時折このような距離標が置かれています。これはバス停まであと1kmの地点で。
その後は次第に車のエンジン音などが近付いてきて、ふいに森の中を抜けると、バス道路がもう目の前でした。
上川乗バス停は、待合所で腰掛けてバスを待つことができ、近くには綺麗なトイレ(写真左端)もありました。

タグ:奥多摩
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