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粟ヶ岳 [静岡]

2017/05/28(日)

■第353回 : 粟ヶ岳(532m)


今回の行先は、静岡県掛川市の粟ヶ岳です。
山頂直下にある大きな「茶文字」が、新幹線の車窓からも見られるので、前から気になっていた山でした。
(その「茶文字」です。この時期は背景と同系色になってしまって、他の時期よりはコントラストが弱め)

一応、山に登ったとはいえ、歩いた時間はほんの2時間。そのコースも茶畑の中の農道が多くを占めていて、登山というよりはハイキングといった趣になります。この地区の茶畑の農法が、世界農業遺産に認定されていることもあってか、地元でも「お茶どころ」のほうを前面に出してアピールしている感じでした。
実際のところ私も、山歩きそのものよりも、茶畑が広がる景観や、登山口と山頂の休憩所で振る舞われた高級茶を楽しもうという思いのほうが上回っていたりして、気分的にも登山よりは観光に近かったと思います。

(往路)
古淵 05:37-05:41 町田 05:51-06:10 本厚木
本厚木 06:12-06:54 小田原 07:08-08:10 掛川
掛川 08:25-08:56 東山

(登山行程)
東山バス停       09:00
茶文字展望地      09:10-09:15
阿波々神社       10:05-10:10
粟ヶ岳         10:15
東山いっぷく処(山頂店) 10:20-11:00
東山いっぷく処(本店)  11:45-11:55
東山バス停       12:00

(復路)
東山 12:30-13:00 掛川 13:32-14:39 小田原
小田原 14:44-15:33 相模大野 15:50-16:05 市営斎場入口


大きなマップで見る

まずは新幹線で掛川駅へ向かいますが、せっかく北側の窓際席に座っていたのに、掛川駅の手前で「茶文字」のある山を見つけられなかったのが気になっていました。1月に浜名湖に近い湖西連峰を歩いた時は、同じ新幹線の車窓からハッキリ見えていた記憶があったので、「茶文字」に何かあったのかと、少し心配な滑り出しです。
掛川駅で路線バスに乗り換えて、「茶文字の里」として売り出し中の東山にやって来ました。ちなみにこのバス、駅から終点までずっと私が唯一の乗客だったほか、帰りのバスもここから乗ったのは私だけでした。きっとこのあたりもすっかりクルマ社会になっていて、バス利用で粟ヶ岳に登る人など、なかなかいないんでしょうね。
バス移動中に車窓から見つけられたので、当初の不安はすでに払拭されていましたが、東山バス停から粟ヶ岳を見上げると「茶文字」はこんな具合でした。なるほど、夏期は背景の草地も緑色になり、文字のコントラストが弱くて遠くから見つけにくかったようなのです(そうと分かって注意深く見れば、帰りの新幹線の車窓からはしっかり確認できました)。ただ、こうして真下に近い角度からでは、どうしても綺麗な形の文字に見えません。

ということで、すぐに粟ヶ岳には向かわず、ほぼ反対方向に進む道を登っていきます。
徐々に距離が離れて、かつ、高度もいくらか上げているので、進むにつれて文字の形が良くなってきました。
10分ほどで、展望地として選んでいた地点に到着しました。粟ヶ岳のパンフレットでは別の展望地がいくつか紹介されていますが、それら公式(?)の展望地はいずれも粟ヶ岳のハイキングコースから遠く離れているので、どこかに無理なく寄り道できて条件の良い地点がないかと、地図を見て狙いを定めておいたのがここなのです。
目論見通り、最小限の寄り道にしては、それなりに綺麗な形が見られました。
  ※下の写真にマウスを乗せると、アップの写真(=冒頭と同じ)を表示します。

綺麗な「茶文字」が見られたら、いよいよ粟ヶ岳に向かいます。
この道をそのまま下っていくと、先程のバス停や登山口がある東山いっぷく処に出られるのですが、ハイキングコースは登り始めてしばらく車道歩きばかりなので、あまりコース通りに歩くことにこだわらなくても良さそう。それよりも、せっかく一度は獲得した標高をみすみす手放すほうが勿体なく感じます。このY字分岐で右の道に入ると、これ以上高度を落とさずにハイキングコースの途中に合流できそうなので、楽なほうを選びました。
粟ヶ岳に近付くと、再び「茶文字」が見にくくなって、このあと「茶文字」とはしばらくお別れになります。
ほどなく、粟ヶ岳の頂上まで通じている車道に出ました。あと少しで、ハイキングコースにもぶつかります。
上の写真の三叉路には、井口地蔵尊がありました(写真左端)。

ハイキングコースとの合流点に到着しました。ここからはコース通りに歩きます。
しばらくの間は、茶畑の中の作業道がハイキングコースを兼ねています。コースに入ると、前後にハイカーの姿がぼちぼち見られるようになって、人が多いと感じない程度でいい感じに賑わっている印象でした。
ただ、茶畑があるのは結構な急斜面。その中を直登する作業道もかなりの勾配で、急坂の連続に息が切れます。
でも、整然として美しい茶畑の中を歩いているのは、とても清々しい気分でした。
しばしば車道と交差しますが、その都度きちんと道標が設置されていて、道案内は万全です。
途中で振り返ると、写真では分かりにくいのですが、茶畑のはるか先に太平洋が見えていました。
茶畑の中を進んでいる間じゅう、急坂が緩むことはありませんでした。
一番上の車道と交差するまでずっと作業道だとばかり思っていたら、その1本手前から山道に変わりました。

一番上の車道に出ました。登りはハイキングコースを全うしてこのまま山道を進みますが、登頂したあとはある理由からここまで車道を下ってくる予定なので、ここから先は周回コースになります。
その後もずっと開けた斜面が続くのかと思っていたら、茶畑エリアよりも上は普通の森が広がっていました。
森の中の山道は、それまでよりも傾斜が緩和されて、格段に歩きやすくなりました。
木立が日差しを遮ってくれるのも有り難くて、風があったこの日、日陰に入ると暑さも凌ぎやすかったです。

前方に何か見えてきました。
それは無間山観音堂の荒れ果てた姿。往時の遠江観音霊場第二十三番礼所も、すっかり廃墟と化していました。
観音堂跡を過ぎれば、もう頂上は間近。所々に大木が現れるなどして、いっそう深まった森の中を登ります。

割と唐突に開けた場所に出たと思ったら、そこが阿波々神社の境内でした。この後、すぐ裏手にある最高点もきっちり訪れましたが、ほとんど標高差を感じなかったので、この神社を頂上としても全く問題ないと思います。
阿波々神社の裏手に回ると、まず「無間の井戸」なるものが現れます。
さらに奥へ進むと、すぐに標識の立つ地点が見えてきました。神社から1分歩いたかどうか、という距離です。
何の面白味もない地点ですが、ここが粟ヶ岳の頂上(最高点)のようです。私製の山名標もありました。
神社の所でも書いた通り、神社からここまでの間にほとんど登った感じがなかったので、神社との標高差はほんの僅かだったでしょう。ほぼ同時に登頂した人たちの中で、わざわざここに来たのも私だけではなかったかと。

最高点を過ぎてなお進むと、この山で初めて、遊歩道的ではない歴とした登山道を歩いている気分になれる箇所がありましたが、それはほんの短い間だけのことでした。
というのも、頂上部にはいくつもの電波塔が林立していて、すぐにそれらの脇に出てしまったからです。
その先で道は下りに変わり、軽く下っていくと、東山いっぷく処の山頂店とトイレがある広場に出ました。

さて、時間はタップリあります。1時間で登ってきたので、下りも1時間見ておけば十分すぎるでしょうが、本数の少ない路線バスを利用する関係上、次の便の時刻まで2時間以上もあるのです。
しかも普段なら、いつ起こるかもしれないアクシデントに備えて、下山するまで時間の余裕を残しておくところなのに、今回はもう山道を歩かずに車道と畑道だけで下ってしまうので、トラブルを心配する必要もなさそう。

ということで、ここでゆっくりして行きますが、本格的に腰を下ろす前に周囲をひととおり見ておきます。東山いっぷく処(山頂店)の建物には外階段があって、上が展望台になっているようなので、まずは登ってみました。
阿波々神社や最高点のあたりには、景色を見られる場所はなかったようなのですが、東山いっぷく処(山頂店)の周囲では東側が開けていて、展望を楽しむことができました。この日はあいにく空気が淀んでいて、見渡せたのは近い範囲にとどまりましたが、条件が良ければ富士山まで眺められたりするようです。
  ※下の写真は縮小版で、大きな写真(文字入れなし)は こちら です。
展望台から降りてくると、建物の前には粟ヶ岳の標識がありました。
ただ、ここもほぼ頂上には違いないので、山名を掲げるのは当然ありだと思うのですが、頂上から10m以上は下ってきているので、この場所で頂上の標高値を併記するのには違和感を覚えます。
2つ前の展望写真にも写り込んでいますが、栄西禅師の像も立っていました。日本にお茶を広めた人物とされていて、ここでは山頂から東山地区を見下ろして、茶畑を見守っているとのこと。
いかにもお茶どころらしい「茶謝」なんて石碑も。周囲の植え込みまでお茶の木で作るあたりもさすがです。

周囲を回り終えたら、東山いっぷく処(山頂店)に戻ります。まだ10時台とあって、店内は空いていますし、新たに到着してくるハイカーの数もぼちぼちという程度なので、ゆっくりとくつろげそうです。
メニューには、そばやカレーといった食事類のほか、飲み物やデザートなどが並んでいます。ここでは軽食にとどめたかったので、事前のリサーチで目を付けていた「くつろぎセット」を注文しました。
「くつろぎセット」は、東山茶(深蒸し茶)に、茶文字まんじゅうまたは緑茶ようかんのいずれかを選んで組み合わせるメニュー。茶文字まんじゅうと緑茶ようかんは、どちらを選んでも1個だけ付きますが、こしあん・つぶあんの2種類がある茶文字まんじゅうを両方食べたかったので、おまんじゅうを追加でもう1個付けました。
お湯がポットで出てくるので、深蒸し茶は客自身が淹れるのが基本のようでしたが、まだ空いている時間だったのが幸いして、おいしい淹れ方を教わりながら1杯目はお店の方に淹れて頂きました。
高級なお茶なんて、普段なかなか飲む機会はないけれど、この「くつろぎセット」用の茶葉はかなりの高級品(会話の中にはキロ単価まで出てきたのですが、ネットで拡散させて良い情報か分からないので、ここに書くのは控えます)。それをきちんとした作法で淹れて頂けたので、少なくとも1杯目はすごく美味しかったです。
茶文字まんじゅうも、お土産に買い求めたいほど美味だったのですが、その場で食べる前提っぽい簡易包装が持ち帰り向きでなさそうなことと、個数が限られている感じもあってごそっと注文するのも憚られて、それは思い留まりました。きっと添加物とかも使わずに、その日に食べきる分だけが作られているのではないでしょうか。

こちらは、店内にあった東山茶のPR用の幟を写したもの。そうなのです、前回(1月)に新幹線の車窓から見た「茶文字」はこんな感じに文字が際立っていて、それですぐに見つけられたのだと思います。「茶文字」を遠くから見るには、夏期以外の、文字の背景が枯れ色になる時期のほうが向いていそうですね。

店内でゆっくりしたら、粟ヶ岳の頂上を後にします。この時点でバスの時刻は1時間半後、まだまだ早過ぎる気もしましたが、登山口にももう1軒お店があるので、そこでも少し時間をつぶせるでしょう。
下山先の東山地区です。写真にマウスを載せると、バス停や東山いっぷく処(本店)のあたりを赤丸で示します。
東山から粟ヶ岳に登るハイキングコースは1本だけなので、一般的にはそこを往復することになります。でも今回はちょっとした目論見があって、途中までは車道を下ることにしました。

左右の景色に気を付けながら車道を歩いていると、所々に整然と並んだ樹木の列が現れます(上の写真にも写っています)。実はこれが「茶文字」を形成するヒノキの並木で、九十九折りの車道は文字の中を3回も横切っているのです。下山コースに敢えて車道を選んだのは、「茶文字」を間近からも見てみたかったからなのでした。
中でも特徴的な2箇所では、こうして案内板が現在位置を示してくれました。こういう案内は楽しいですね。
  ※下の写真にマウスを乗せると、アップの写真(現在位置が良く分かります)を表示します。
この地図で、車道が九十九折りをしながら「茶文字」を横切る様子が分かります。(東山のパンフレットから)

車道なので、直射日光下をずっと歩くのを覚悟していたら、意外にも森の中を通っている区間もあって、木陰に少し救われました。なお、車で頂上を訪れる人も結構いるので、時々行き交う車やバイクには要注意です。
途中の三叉路からは、倉真温泉への道が分岐していました。倉真温泉へは、この車道とは別に、山道のコースが複数あることが山頂のお店に置かれていた案内図で分かり、今歩いている東山からの短くて車道区間の多いコースよりも楽しめそうな感じに見えたので、また来る機会があったら今度はそちらを歩いてみたいと思います。

しばらく進むと、樹木の列(2本見えています)がとても分かりやすく見られる地点がありました。
上の写真のうち、右上端に見えているほうの列をアップにしました。「茶文字」を形成するにあたって、2列に並んだヒノキで1画が表されているのがお分かり頂けるかと思います。
この地点には、2つめの現在位置の案内板がありました。
すでに「茶」の右下のはらいの真下まで来ているので、至近距離からの「茶文字」はここが見納めでした。

ほどなく、ハイキングコースが車道を横切る地点に出ました。ここは登る時にも通っている、見覚えのある地点です。下りで車道を歩くのはここまでにして、ここからはハイキングコースを下ることにしました。
まだ午前中なので、これから登る人たちが多くて、たびたびすれ違いながら下ります(写真は人が写り込むのを避けて撮っています)。お昼頃には頂上も結構賑わったのではないでしょうか。
登る時にも見掛けていましたが、所々で茶葉の収穫作業が行われていました。
茶畑が整然と広がる風景はやはり美しいですね。
かなり下って、登るときに左の車道から上がってきた地点まで来ました。
その車道を見送って直進すると、ここから先のハイキングコースは、まだ歩いていなかった区間となります。
でもその先は、ほんの2~3分で車道に出てしまって、あとは車道を歩くだけになりました。

登山口まで下ってくると、そこには東山いっぷく処(本店)があって、店内に入るとすかさずお茶をサービスで出してくれました。頂上のお店ではお土産は買わなかったので、ここで新茶と羊羹を購入しています。ただ、思いのほかこぢんまりとした店舗で、案の定盛大に余りすぎていた時間を、ここではいくらも潰せませんでした。
周囲にも時間を潰せる場所などなさそうなので、バス停に向かってしまいました。ここでちょうど正午を迎えた時、放送で時報代わりに流れたのが唱歌「茶摘み」のメロディーだったのが、実にお茶どころらしかったです。
幸い、東山バス停には待合所があったので、座ってゆっくりバスを待つことができました。しかも私以外には発車時刻まで誰1人として現れず、掛川駅に着いてからと思っていた着替えもここで済ませられています。
掛川駅に着いたら、乗り継ぎで少し時間が空いたので、駅構内の「これっしか処」に寄って、さらに職場で配る用のお土産を購入していきました。この日は珍しく、現地で結構お金を使った気が‥‥。

タグ:静岡
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