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神座山・大栃山・小栃山 [富士山とその周辺]

2016/04/09(土)

■第325回 : 神座山(1474m)・大栃山(1415m)・小栃山(1086m)


今回は、5年ぶりの桃源郷を下山後に訪れようと、御坂の山を歩いてきました。市内全域に桃畑が広がる笛吹市は「日本一の桃源郷」として売り出していて、毎年この時期に「笛吹市桃源郷春まつり」が開催されるのです。
その中でも高台にあたる御坂エリアでは、ちょうどこの週末に桃の花が最盛期を迎えていて、一帯がピンク色に染まる、まさに桃源郷といった景色を楽しんできました。

ところで山歩きのほうはと言えば、下山後に見た美しい景色とは対照的に、地味で渋すぎる内容となりました。
道が全くないか、あっても不明瞭な区間が大半を占めていて、コースを外さずに歩くことに神経を使いましたし、さらに富士山が雲に隠れ気味だったことで、山の上にいる間は展望らしい展望も得られずに終わっています。

(往路)
古淵 04:59-05:21 八王子 05:35-06:19 大月
大月 06:23-07:05 石和温泉 07:22-08:08 鳥坂トンネル

(登山行程)
鳥坂トンネルバス停 08:10
鳥坂峠    08:20
鳥坂山    08:30
1276m峰   09:15
神座山    10:05-10:15
トビス峠   10:35-10:40
大栃山    11:10-11:20
小栃山    11:55-12:05
花鳥山一本杉 13:20-13:25
桃源郷公園  14:00-14:30
桃源郷公園入口バス停 14:35

(復路)
桃源郷公園入口 14:41-15:01 石和温泉 15:31-16:29 八王子
八王子 16:39-17:01 古淵


大きなマップで見る

久しぶりに石和温泉駅に来てみたら、下り線ホーム直結の改札口からそのまま駅前に出られたはずなのに、改札口行きの上り階段に誘導されて面喰らいました。いつの間に新装されたのか、橋上駅舎になっていたんですね。
駅前もロータリーが整備されて、スッキリとした印象でしたが、バス乗り場がなぜか2箇所に分かれていたことは、少し分かりづらいと感じました。これから乗るバスなどは、笛吹市による委託で市営バスとして運行されているからか、一般路線とは乗り場が別になっていたのです。

私ひとりだけを乗せた鶯宿行きのバスは、石和温泉駅を出て市街地を抜けると、さらにグングンと高度を上げて、これから歩く御坂山地北部の尾根をトンネルでくぐります。トンネルを出てすぐのバス停で降りて支度をしていると、反対方向から歩いて来た単独行の男性が、私も目指している方向に先行する形で通り過ぎて行きました。
トンネルが尾根のすぐ下を通っているので、10分も登ればあっけなく尾根上の鳥坂峠に上がってしまいました。
峠から西側に延びる稜線は、滝戸山から春日山までを縦走した2013年に歩いていて(ここまで登ってきたのも、その時に下った道でした)、この日はまだ歩いていない東側の稜線に向かいます。
ここで、前方を登っていた男性がどちらに進むかを窺ったところ、私と同じ東側に向かうのが見えました。熊鈴の音をかなり大きく鳴らしている方だったので、正直な所、後ろを歩くのが鬱陶しく感じたのでしたが‥‥。

鳥坂峠から鳥坂山までも、ほんの10分ほどでした。なにしろバス停の標高がほぼ1000mあったので、最初のピークに達したとはいえ、まだ100mほどしか登っていません。狭いピークは電波施設が半分がた占拠していました。
標識類は見当たらず、山名は樹木に巻かれたテープにマジック書きされていただけで、展望もほとんどありません。そして、普通に歩くことができたのは、ここまでの短い間だけでした。
鳥坂峠と神座山の間は、歩く人が少ないと見えて、道はあまり踏まれていない感じです。このため、特に傾斜が急になる箇所などで、しばしば道が不明瞭になります。それなのに、歩く人が少ないゆえに整備までなおざりになっているのか、道標は1本たりとも見掛けませんでしたし、テープ等の目印もごく少数で十分とは言えません。
登山地図に実線で描かれた「一般登山道」のため、何も下調べもせずに全くのノーマークで乗り込んできていたので、こんな状況は完全に想定外でした。まさか一般登山道で、地形図とコンパスを頼りに歩く羽目になるとは!
そしてもうひとつ想定外だったのが、最初は鬱陶しくも思えた、先行する男性の熊鈴の音が、進行方向を判断する上では非常に有り難かったことでした。それがなかったら、この区間ではかなり心細かっただろうと思います。

一旦鞍部まで下って、登り返した1170m圏のピークにも、電波施設がありました。
この日は、雪を抱いたままの南アルプスが中央線の車窓からとても美しく見えていて、それをどこかの山から眺めるのが楽しみだったのですが、このピークでは樹木越しにしか見られず、その願いはなかなか叶いません。
1170m圏ピークからの下りが最も分かり難い箇所でした。熊鈴の音があらぬ方向から聞こえてきたので、最初は先行する男性がバリエーションルートにでも向かったのかと思ったのですが、コンパスを確認するとその方角が正しくて、良く見てみたら色褪せた古いテープと薄い踏み跡が見つかりました。
その後は急な登りがしばらく続き、標高が1250mを超えたあたりで、初めてこんな穏やかな尾根が現れました。
1276m標高点ピークに着きました。この高さまで来ると、進行方向に神座山を捉えられるようになっています。
そして左を向けば、神座山の次に向かう大栃山も見えていましたが、どの方向にもこんなふうに樹木があって、ここでも南アルプスをスッキリと見ることはできませんでした。
このあたりまで来ると、ハッキリした尾根を歩くことが多くなって、進路に不安を感じることは少なくなります。ルート上には境界見出標の赤い標識と杭がずっと続いていたので、それも良い目印になりました。
1309mピークを過ぎると、その先に岩屑が露出した急斜面が現れて、少し長く続きます。ここでは手も使いながら登る必要がありましたが、そんなに険しい箇所はなく、地図を片手に持ったままでも大丈夫な程度でした。

本日の最高点、神座山に到着しました。標識というモノを見るのは、鳥坂峠以来になります。
ここで、ずっと先行してくれていた男性と少しお話ししたところ、ここから大栃山・小栃山を経て下るまでが一緒で(その先はちょっと違いましたけれど)、お互いにほぼ同じルートを歩きに来ていたことが判明しました。
ここまで、ほかには登山者の気配が全くなかったのですが、入れ替わりに近い形でその男性を見送った後は、大栃山から来て釈迦ヶ岳へ向かう2人組が通過して行くなど、ここからはハイカーの姿も増えていきます。
神座山から見た富士山は、白っぽい空を背景に、雪を抱いた真っ白な姿で、さらに雲が纏わり付くという状況でした。だから写真にすると訳が分からなくなりましたが、このほぼ真ん中に、肉眼では明瞭に見えていたのです。
南アルプスの眺めは、ここでも樹木に阻まれてしまいました。樹木越しに、少し雲が絡んできた気配が感じられたので、なんとか隠れてしまう前に見られる場所が現れてくれないかと、少し気が焦ります。
神座山からクリアに見られたのは、この釈迦ヶ岳だけでした。端正な三角形で、どこから見ても分かる山です。

神座山からトビス峠までは、2007年に1度歩いている道です。傾斜はやや急なものの、きちんと整備されていて歩きにくい箇所はありません。これが、一般登山道の本来あるべき姿だと思うのですが‥‥。
鞍部のトビス峠まで下ってきました。2007年に黒岳・釈迦ヶ岳を縦走してきた時は、ここを右に折れて檜峯神社へと下りましたが、今回は直進して大栃山に登り返します。
トビス峠から大栃山への道は、最初に急登が続いて一気に高度を挽回すると、その後は穏やかな尾根道に変わりました。時折ハイカーとすれ違うので、山梨百名山だけあって、そこそこ人が入っているようです。

大栃山に到着しました。樹木と重なって分かりにくい写真になりましたが、山梨百名山の標柱が立っています。
団体さんのほかに、何人もの登山者がいて、マイナーで静かな山を想像していたら、意外に賑わっていました。
せっかく富士山の方角が切り開かれていたのに、雲しか見えませんでした。神座山ですれ違った方からは、きれいに見えていたと聞いていたので、2時間ほど早く来れば、全然違う眺めが見られたのでしょう。
その代わり、やっと南アルプスを眺めることができました。朝のうち見事なくらい鮮明に見えていたのと比べると、気温が上がってかなり霞んでしまいましたし、見えているのが北部だけでそれより南側を樹木が遮っているのも残念なのですが、全く見られないうちに終わるかもと思っていたので、見られただけで良しとしましょうか。
  ※下の写真にマウスを乗せると、山名ガイドを表示します。
そしてもうひとつ、同じくらい楽しみにしていたのが、桃畑が広がる笛吹市側の眺めでした。肉眼ではいい感じに桃色に染まっている様子が分かったのですが、まだ距離があって、写真に収めるのは厳しかったようです。

朝からずっと先行していた男性と再びお会いして、少し言葉を交わしたのち、食事休憩していた男性と入れ替わる形で、ここからは私が初めて先行します。

そして、大栃山から先は、バリエーションルートもいいところで、完全に道なき道の連続でした。
コンパスで方向を定めて西南西に下っていくと、すぐに埋もれかけた木段が見つかりますが、難なく下れたのは木段が終わるまでの短い間だけ。その先には、全く道がないどころか、踏み跡すら見つけられなかったのです。
そもそも大栃山から小栃山を経て花鳥山一本杉へ下るルートは、登山地図を見ても地形図を見ても、線が一切書かれていません。でもヤマレコをはじめとするネット上には、歩いた記録がそこそこ存在していることから、踏み跡くらいは追えるものと思っていたので、ここまで道がないというのは想定外でした。

進路が正しいかどうかを、しばしばコンパスで確認しながら、慎重に進むしかありません。
結果的には、境界見出標の杭に沿って進んでいれば良かった区間も多く、また進行方向を大きく変える箇所には道標が立っていたので、何もない所では一番明瞭な尾根を拾っているだけでも問題なかったのかもしれませんが、かといって、やはりそれだけで満足に歩ける状況でもなかったように思います。
周囲を見渡しても、このように一面に落ち葉が積もった斜面が広がるばかりでした。落ち葉を除けば道が出てくるのかもしれませんが、尾根が細くなるなどして落ち葉が溜まりにくく、土が露出していたような箇所でも人が歩いた痕跡を見ることが稀だったので、本当に道などなくて、ほとんど歩かれていないのだろうと思います。
前の写真にも写っていますが、このような標識が、ほぼ最小限と言えるような頻度で立っています。この標識を見るたびに、正しいルート上にいると分かってホッとしましたし、矢印によって次の進行方向が示されました。
途中には、補助ロープが設置された急斜面が現れました。単に急降下するというだけでなく、踏み固められていない脆い斜面に大量の落ち葉が乗っていて、非常にスリッピーです。その距離も結構長くて、何度も足を取られてロープにぶら下がるような形になったので、もしもロープがなかったら、滑落は免れなかったと思います。
小栃山が近くなって、小栃山南方にある1140m圏の小ピークに登り返したところで、(花鳥山一本杉まで)あと95分の標識を見ます。大栃山を出て以来、尾根がイーブンに左右に分岐するのはここが初めてで、標識がなければ地図とコンパスで確認しない限り、右へ進むのが正しいとは分からない地点でした。
と偉そうなことを書いていますが、コンパスによる確認が面倒になってきたことと、何となく進んでいても大丈夫なことも多かったので、この頃にはGPSを見ながら歩くという、禁断の方法に切り替えてしまっていました。

小栃山は思っていたよりも地味なピークで、三角点のほかには、あと85分の標識が立っているだけでした。ほとんど歩かれていないだけに、山名標を付けるような人もいないのでしょう。
とても良好な状態だった三角点。比較的新しそうではありますが、人に触られることも滅多にないのでしょう。
小栃山から先では、尾根の枝分かれが多くなるので、地図読みだけで歩こうとすると難しい区間になります。
しかしGPSを見ている私にとっては、この先で尾根が分岐するから標識があるぞと思って行くと、期待通りに標識が現れる、という展開の繰り返しで、大事な所に標識がなくて不安になることはなかったように思います。

全部の標識は載せませんが、こちらは980m付近にあった、あと70分の標識です。ここでは、直進する明瞭な尾根から分かれて、左折しなければならないのでした。
どこまで進んでも、一向に道は現れません。いくらバリエーションルートといっても、踏み跡くらいはあることが多いですから、ここまで道がないルートをこれだけ長く歩くのは、今回が初めてではなかったかと思います。
次第に下界が近付いて、桃畑のピンク色が鮮明に見えるようになってきました(写真ではまだまだですが)。
ただ、ここにきて困ったことに、左足が攣りはじめてしまいました。この日のルートは、ただでさえ下りの累積標高差が1600mを超えているのですが、道のない落ち葉で滑りやすい斜面で、足を取られないように踏ん張りながら下ることの連続で、かなり筋力を酷使していたようです。この先では、進行方向を見極めるほかに、足の状態にも気に配りながら歩く必要に迫られましたし、翌日の筋肉痛も結構重かったです。

あと30分の標識です。地図上ではここを右折することになっており、期待通りの場所に現れたこの標識も右折を示しています。それなのに、右手にあるのは、とても普通には下れそうな気がしない程の急斜面でした。
かなり迷った挙げ句、いくら考えても正しい方向なので下るしかないと決意して、何度か転げ落ちそうになりながらも無事に下りましたが、今回ここが一番に緊張を強いられた箇所でした。
下ってから見上げた急斜面は、写真では傾斜のきつさが伝わらなさそうですが、傾斜が急なばかりか足元も悪くて、とてもかつて道があった場所だとは思えません。ただ、正しい進行方向を維持するには、下った後で少し左に動く必要があったので、もしかするともう少し手前で左に回り込んでおくのが正解だったのかもしれません。
急斜面を下った先で、609m標高点の小さなピークを越えていくと、農業用の配水施設らしきものが現れました。
配水施設までは人の往来があるのか、配水施設を過ぎるとようやく道がハッキリして、地図を見なくても歩けるようになりました。山道を歩く距離も残りわずかになっていて、ここまで来ればもう安心です。
やがて左手にフェンスが出現して、三角点も道の中で見つかりました。

最後に、動物除けのフェンスの扉を開け閉めして通り抜け、その先のササ原を突っ切って景色が開けると‥‥。
ずっと遠くまで、桃畑という桃畑をピンク色に染め抜いた、美しい景色が私を待っていました。しかもその景色が、苦労の多かった道を歩き通した末に現れたことで、見ることができた嬉しさもひとしおだった気がします。
山道が終われば、歩く道も桃畑の中に入っていきます。
桃畑の入口です。
桃畑に入ると、すべての桃の木が見事に咲き揃っていて、一番いい時期に来たのではないかと思います。
場所によっては、菜の花との競演も見られました。
桃畑の中をさらに進みます。
写真を撮ってばかりで、なかなか前に進みません。

花鳥山一本杉のある浅間神社まで来ると、高台に当たるためか、桜の花もまだ見頃が保たれていました。
浅間神社の境内は、花見客でいっぱいでした。頭上には桜、周囲には桃と、両方が楽しめて贅沢な花見です。
一本杉も、境内の中からは、桜の花越しに見上げる具合となりました。

浅間神社に隣接する駐車場は、リニアの線路と桃畑を同時に眺められる、「花鳥山展望台」にもなっていました。
リニアの線路がすぐ近くにあり、しかも防音壁に覆われていないので、走行試験時は車両を見ることができるとか。その奥では南アルプスがすっかり霞んでいたので、北部だけとはいえ大栃山から見ておけて良かったです。
少し右を向けば、再び桃色に染まった景色が見られて、ウットリしてしまいます。
この近くには、朝に乗った路線バスの室部バス停があり、13:31発に間に合うタイミングなので、それに乗って早く帰ることも可能でしたが、せっかくなのでもう少し桃源郷の景色を楽しんでいくことにしましょう。

ということで、付近に点在する桃畑を眺めながら、桃源郷公園まで歩いてしまいます。
何度見てもいい眺めで飽きません。
リニア実験線のちょうど真上を通ります。これほど近くからリニアの線路を見られる場所もそうそうなさそう。
ここ1ヶ月ほどは「桃源郷春まつり」が開催されていて、中でも「笛吹市桃源郷の日」を明日に控えた今週末は、御坂地区を中心に多くのイベントが開かれるため、散策コースは訪れていた人たちで賑わっていました。
広域農道に出てからも、沿道にはしばしば桃畑が現れて、目を楽しませてくれました。
桃の花のアップも、もう何枚目になりますでしょうか。
中には、桃畑を上から見下ろすロケーションもあって、なかなかきれいでした。
花鳥山一本杉から車道を30分ほど歩いて、桃源郷公園の近くまで来ました。しかし、この左前方がもう公園内のはずなのに、何の案内もないのが気になります。
しばらくは、周囲の道路と公園内とが厳重なフェンスで隔てられていて、なかなか中に入れません。
この裏口も、遠目には乗り越えない限り入れないように見えたので、反対側まで回らなければならないのかとガックリしましたが、良く見たら左端の扉だけ歩行者用に開閉できるようになっていたのでホッとしました。

桃源郷公園の中の様子です。この写真の奥にある、裏口に当たるような場所から入ってきました。
公園の周囲には桃畑が広がっていて、桃色に染まった景色が楽しめたのですが‥‥。
公園の中には、特段桃に因んだものはなかったようです。その名前から、少しは何か見られるだろうという期待もあって来たのですが、割と普通の公園だったので、その思惑は外れてしまいました。まぁ、1年を通して人が訪れる場所としては、これで良いのかも知れませんけれど。
池を配した庭園風の一角があって、その向こうでは桜の花見はできるようでした。
公園内にあった桃といえば、ひときわ鮮やかに咲いていたこのハナモモくらいだったでしょうか。

しばらくゆっくり過ごして、バスの時間が迫ってきたら、正面入口から出て桃源郷公園を後にします。
最後はここでバスを待ちます。かなり遅れてきたバスには結構乗客がいて、ギリギリ座れた感じでした。
ところで、富士急のバス路線図や、その他の資料によると、バス停名は「桃源郷公園入口」のはずなのですが、バス停は「桃源郷公園」になっていました。一体どちらが正しいのだろう?

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